人間が挑戦するには「安全基地」が必要

そして、怖くなると布の母親のところに戻り、また熊のぬいぐるみに近寄って......という行動を繰り返すうちに、最終的に熊のぬいぐるみと遊ぶようになったのですね。

これは、お母さんが「安全基地」になっているからこそ、赤ちゃんは挑戦し、成長できたという証し。

世の中には、子どもの成長を願って、崖から突き落とすくらい厳しく接するといい、という考え方もありますが、それは目的にかなった行動とは言えません。なぜなら、親子のよいつながりが安全基地となるからこそ、人は成長できるのですから。

安全基地は、子どもだけでなく大人にも必要です。私のオンラインサロンでも、最初はサロン内だけで「挑戦できる」と言っていた人たちが、今では外の世界でも挑戦できるようになっています。

みなさんも、何かのコミュニティやチーム、個人同士の関係などをつくるときは、まずは心理的安全性の土台である質のよい関係性をつくっていくことを、最優先に考えてほしいですね。

関係性がいいと、仕事も楽しくなる

「仕事なんだから、いい関係性なんて、必要ないよ」

企業などの組織では、そう言う人が結構いますね。

「自分がやることさえ、きちんとやっていればいい」

「まずは、作業をどう効率よく進め、どう結果を出せるかが重要だ」ということですよね。そういう傾向は、どこにでもあると思います。

組織に限らず、多くの人が「何かをしよう」というときに、どうしても後まわしにされがちなのが、人との関係性。ここで興味深いデータがあるので、見てみましょう。

職場の人間関係の質とエンゲージメント
出典=The Economy of Wellbeing. Rath & Harter(2010)

これは、アメリカの従業員がどのくらい「働く喜び」を感じているかという研究結果をまとめたものです。

従業員が仕事に対して感じている「楽しさ」、すなわち充実感や就業意欲のことを「ワークエンゲージメント」と呼び、これが高まると、従業員の幸福度=ウェルビーイングも高まることがわかっています。

そこでグラフを見ると、「職場の関係性がよくない人」は、10%しか、「仕事が楽しい」と感じられていないのですね。

一方、「職場の関係性がよい人」は、49%と、ほぼ半数の人たちが仕事を楽しめているのです。この2つの差は、5倍近くあります。

そのくらい、職場の人間関係とワークエンゲージメントは、影響し合っているということです。

組織の従業員に対する取り組みは、時代とともに変わってきました。

もともとは顧客の満足度を上げることが目標で、従業員のことは二の次だったものが、従業員の「働きにくさ」を取り除くことに注目するようになり、それが「働きやすさ」を考える取り組みに変わりました。

批判、自己弁護...人間関係を壊す「4毒」の正体

では、心理的安全性のある関係性をつくるためにはどうすればいいでしょうか。必要なポイントを押さえていきましょう。

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