<サンパウロ大学で収蔵されている約3000個の標本から、翼竜の一種「トゥパンダクティルス・ナビガンス」のほぼ完全な骨格と軟組織の一部が見つかった>

2013年にブラジル・サンパウロ州サントス港での強制捜査により警察が押収し、サンパウロ大学で収蔵されている約3000個の標本から、前期白亜紀(約1億4500万年前から約1億50万年前)の翼竜の一種「トゥパンダクティルス・ナビガンス」のほぼ完全な骨格と軟組織の一部が見つかった。その研究成果は2021年8月25日にオープンアクセスジャーナル「プロスワン」で発表されている。

骨の内部が空洞になっているため、翼竜の化石は極めて希少

「トゥパンダクティルス・ナビガンス」の標本は黄色っぽい正方形の石灰岩の板6枚に埋め込まれていた。サンパウロ大学らの研究チームはCTスキャナーを用いて石灰岩に埋め込まれている骨格を分析し、標本の3Dモデルを作成した。

これによると、「トゥパンダクティルス・ナビガンス」は体高1メートルで、その40%にも及ぶ巨大なとさかがあることがわかった。翼幅は2.7メートルと推定されている。巨大なとさかと長い首を持ち、翼幅が比較的短いことから、主に陸上で生息し、飛行は短距離に限られていたとみられるが、背心骨があり、動力飛行にも適応していた。

翼竜の骨はもろく、骨の内部が空洞になっているため、翼竜の化石は極めて希少だ。「トゥパンダクティルス・ナビガンス」については2003年1月にドイツと英国の研究チームが初めて研究論文で発表したが、その際に用いられたのは頭骨の一部のみであった。「トゥパンダクティルス・ナビガンス」のほぼ完全な骨格がブラジルで見つかったのは今回が初めてだ。

「トゥパンダクティルス・ナビガンス」と同じくタペヤラ科に属する「トゥパンダクティルス・インペラトル」は、これまで別の種だと考えられてきた。しかし、研究チームは「これらの違いは性的二形(性別によって個体の形質が異なる現象)によるものであり、同種のオスとメスなのではないか」との仮説を示している。