聞いているヨーコは今にも爆発しそうだった。

礼儀として、私は自分の意見を言う前に質問した。「その有罪というのは、裁判で争った結果で?」

「いや、でも弁護士に有罪を認めたほうがいいと言われた」とジョン。

「本当に罪はあった?」

ジョンは言った。「いや、全く無罪だ。もちろん、ハシシやその他のドラッグに手を出したことがないとは言わない。でも当時は警察の手入れがあると警告されていた。ロンドン警視庁の麻薬捜査班がロックミュージシャンたちに目を付けていて、私もその1人だった。既にミック(ミック・ジャガーのことだと後になって知った)やジョージ(・ハリスン)は逮捕されていたしね」

ジョンが続けた。「当時のアパートは別のミュージシャン数人から受け継いだんだ。あの頃の私たちはドラッグなんてやっていない。マクロビオティック(自然食健康法)の生活をしていたからね。ドラッグがあったら困るので隅々まで掃除したくらいだ」

私は身を乗り出した。「それでも弁護士は有罪を認めろと?」

「ま、いろいろ事情があって。ヨーコは、いわゆる敵国人だし」。ジョンは鼻にしわを寄せ、イギリスの役人の口ぶりをまねて「敵国人」と発音し、にやりとした。「それに、たいした影響はないと言われたから。前科もないし、形ばかりの罰金を払えば終わりだと。だから言われたとおり有罪を認めた。弁護士に任せればいい、はずでしょ?」

「そのとき何を所持していたのですか?」。私は判決資料をめくりながら尋ねた。「マリフアナ?」

「いや、ハシシです」

「私の無知を許していただきたい。私はあなたのことも知らないし、マリフアナとハシシの違いも分からない。それらは同じものですか?」

「ハシシはマリフアナよりずっと上です!」とジョンは言い、教師が黒板に板書をするふりをした。「いいですか。ハシシとハッパ──ハッパはマリフアナのことです──は同じ植物から作られますが、ハシシのほうがはるかに強力。お遊びのドラッグじゃないんです」

起死回生の妙案
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