しかしID NOWに対しては、研究者の一部から正確性への疑念が出ていた。

ニューヨーク大学が5月に発表した研究では、この装置が感染者の3分の1から場合によっては半分近くを見落とす恐れがあるとされた。同月にコロンビア大学アーバイン・メディカル・センターの研究者も、検査の的中率が73.9%にとどまったとしていた。

米食品医薬品局(FDA)も5月、ID NOWの不正確さの可能性を巡る懸念を認めていた。9月30日時点でFDAに関連の有害事象302件が報告されており、多くの偽陰性が含まれていたことも発表した。9月に改定されたFDAの緊急使用許可承認では、結果を確認する追加検査実施が妥当かもしれないと警告した。

アボットはニューヨーク大学の研究については今月2日、調査に欠陥があり、問題点が多数あるとする声明を発表。ID NOWの結果はPCR検査と類似しており、患者の感染サイクルによっては最も感度の高い検査でも偽陰性の判定はあり得ると反論。同社広報担当者は、感染直後にウイルスを検知できる検査手段はないとも述べた。

トランプ氏についてはホワイトハウス専属医のショーン・コンリー医師が2日、PCR検査で感染を確認したと公表している。

かえってウイルス拡散も

トランプ氏はID NOWでの自分や側近らへの日常的な検査で意を強くし、マスク着用を義務づけない大規模な選挙集会や献金者とのイベント開催を続けた。1日にはニュージャージー州に飛んで資金集めのゴルフイベントに参加、演説もしていた。ホワイトハウスのマケナニー報道官は2日、「社会的距離を取っていたし、屋外イベントだったし、ホワイトハウスの運営によって大統領の参加は安全であるように見えた」と語った。

トランプ氏や側近らはいつもマスクをしていなかった。先月の議会証言でマスク着用の重要性を訴えた米疾病対策センター(CDC)のレッドフィールド所長をトランプ氏は公然と否定していた。9月29日の第1回大統領選候補討論会では、民主党候補バイデン前副大統領がしょっちゅうマスクをしているとけなしていた。「私は彼みたいにはマスクをしない。彼は見るといつも、マスクしている」と発言していた。

専門家によると、ホワイトハウスが新型コロナを防ぐために検査ばかり重視していたツケは、大統領やメラニア夫人を超えてかなり広範に広がる可能性がある。サウスカロライナ医科大のクッパリ氏は、ホワイトハウス関連で「陽性判明はもっと増えると思う」と話し、「そうならないことを祈っているが」と付け加えた。

[ロイター]
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