アメリカはドルの世界的な役割もあって、状況がやや異なる。強い通貨は輸出競争力と雇用を損なうが、為替レートの変動に対する米経済の脆弱性は限定されている。ユーロ圏ほど開放的ではないからだ。

最近のIMFの調査が示すように、貿易の決済における米ドルの圧倒的な優位性も大きな違いをもたらす。

世界の輸出業者の大半がドルで請求書を発行しているため、現地通貨の対ドルレートが変化しても、輸出価格は比較的安定する。その結果、輸出元の国もアメリカも短期的な現地通貨の価値の変動から大きな影響を受けずに済んでいるようだ。ところが欧州の輸出業者はユーロで請求する傾向があり、対ドルレートが上がると、世界中で欧州の輸出品の競争力が低下する。

以前からEUの政策立案者は、ユーロのグローバルな影響力を高めようとしてきた。コロナ危機への対応の成功によって、その願いはかなうかもしれない。だが全てのバラには、とげがある。EUがそこに気付く日も遠くなさそうだ。

©Project Syndicate

<本誌2020年8月25日号掲載>

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