乗客の居住密度もリスク要因

だが、空気の流れは感染をめぐる複雑な方程式の一部でしかない。「航空機における最大の課題は、居住密度が非常に高いという点だ。多くの人々が狭い空間に密集しているので、空気の品質を維持するには、その空間に大量の空気を投入しなければならない」とジョーンズ教授は言う。

米疾病管理予防センターによれば、新型コロナウイルスは、濃厚接触、つまり6フィート未満の距離にある人と人との間で感染すると考えられるという。これは多くの航空機客室の約半分に相当する長さだ。

これほど短い距離における空気の流れは、何よりも予測が難しいと言われている。乗客は、各席の上方にある「ガスパー」と呼ばれる個別の空気吹出口によって、空気の流れをある程度自分でコントロールすることができる。

ジョーンズ教授によれば、平均的に見て、空気吹出口の向きを変えることで「(状況は)少しマシになるが、何の保証もない」という。

フィルターで濾過されているとはいえ、最悪の場合、空気吹出口によって絞り込まれた空気の流れが、近くのウイルスを乗客の顔に吹き付ける可能性もある。その一方で、吹き付ける空気の方向によって、水平に流れる空気の移動を制限するというポジティブな効果もあるかもしれない。

こうした疑問に直面して、ボーイングとエアバスではエンジニアたちを動員し、席と席のあいだの空気の流れを検証している。用いられるのは、翼の空洞実験で使われているものと同じ、先進的な物理学だ。

「各席に設けられたエアジェットについて何か勧告できるかどうか、積極的にシミュレーションを実施している」

搭乗中の感染という不安は、少なくとも2003年のSARS流行の際にはすでに生じていた。ただし、搭乗と感染の関係が証明されたことはない。

この年の3月、やはりコロナウイルスを原因とするSARSに感染した72歳の男性が、香港から北京へのフライトに搭乗した。119人の乗客のうち少なくとも22人、そして乗員2人が後にSARSを発症した。

搭乗中に発生した重大な感染例はこの1件だけだが、これを契機として、症状のある利用者を搭乗させないための措置がとられるようになった。

デラニー氏は、新型ウイルスを機内に入れないための戦略には、こうした「水際阻止」作戦も含めなければならないと話す。今後の取組みでは、紫外線殺菌システムや抗菌性素材などの技術に関する研究も取り入れられる可能性がある。

(翻訳:エァクレーレン)

[ロイター]
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