しかし今回のウクライナ疑惑で名前が出たのはトランプの側近中の側近、私的な顧問弁護士のルディ・ジュリアーニだ。ゼレンスキーとの電話会談でトランプは、バイデンに関する捜査については今後、ジュリアーニにフォローさせると発言している。ウィリアム・バー司法長官を関与させる意向も示した。

トランプは自分の陰謀にゼレンスキーを抱き込もうとし、その際にジュリアーニとバーの名前を出した。当然、この2人も追及を免れない。トランプを特別検察官の捜査から守り、トランプのどんな行動も公然と支持してきた2人が疑惑の中心人物として浮上したことになる。

ロシアが2016年の米大統領選に介入した目的が、トランプを勝たせ、アメリカの対ロ政策を軟化させることにあったのなら、それは失敗に終わった。

トランプ自身はロシア大統領ウラジーミル・プーチンへの親近感をアピールしているが、アメリカ政府はロシアに強力な経済制裁を科すなど、一貫して厳しい姿勢を維持している。

トランプがアメリカの伝統的な同盟諸国を軽視していることや、人権問題などに総じて無関心であることは、明らかにプーチン政権を利している。しかし一方で、ロシア経済は制裁の重みに悲鳴を上げている。

ところがトランプはゼレンスキーとの電話会談に先立ち、ロシアを利するような政策変更でウクライナ側を慌てさせた。ワシントン・ポスト紙の報道によれば、ウクライナに対する4億ドルの軍事支援金の拠出を遅らせるよう、電話会談の少なくとも1週間前にトランプが直々に命じたという。バイデンの顔に泥を塗る陰謀にゼレンスキーを巻き込むための作戦だったらしい。ちなみに問題の4億ドルは9月11日に拠出されている。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2019年10月8日号掲載>

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