David Lawder

[ヒューストン 4日 ロイター] - 米民主党は中間選挙で圧勝し、上下両院の過半数を奪還したことで、トランプ大統領の通商政策を厳しく検証する力が強まる。ただ、関税撤廃や通商権限の撤回を議会で可決しても、大統領の拒否権を覆すのは依然として難しいと、通商・法律の専門家が4日に指摘した。

民主党は上下両院で大きく議席を伸ばしたことで、政府機関への予算配分権限を使い、通商などの問題でトランプ氏に譲歩を求める余地が生まれる。ただ、通商アドバイザーらは顧客に対し、選挙結果が短期的な関税政策の変更につながるとの過度な期待を控えるよう助言している。

アーンスト・アンド・ヤングのワシントン・カウンシル部門で通商政策担当マネジングディレクターを務める、ブレーク・ハーデン氏は「議会の勢力図の変化や選挙結果が、大統領の通商政策や現在の関税に大きな影響を及ぼす可能性は極めて低い」とし、「議会から行政府に非常に多くの通商権限が委譲されているためだ」と述べた。

ハーデン氏ら通商専門家によると、民主党が主に力を入れるのは、同党が主導権を得る通商関連委員会での監視・調査や公聴会となる。

民主党は、トランプ氏が関税の根拠として使ってきた時代遅れの通商法の一部を廃止したい意向を示している。約1世紀前に制定され、これまで一度も使われたことのなかった1930年関税法338条がその一例で、トランプ氏は同法に基づき、カナダからの輸入品に関税を課した。

ロイターの最新予測によると、民主党は下院で少なくとも235議席を確保し、こうした法案を可決しやすくなる。ただ、上院では54議席で、ミシシッピ、アラスカ両州の選挙結果次第で最大2議席が上積みされても、フィリバスター(議事妨害)を打ち切るのに必要な60票には届かず、一部共和党議員の賛成が必要になる。

拒否権を覆すためのハードルはさらに高く、上院で67人、下院で290人の賛成が必要となる。

ただ、一部メディアが民主党の下院議席数を258と予測する中、バイデン政権で米通商代表部(USTR)の法律顧問を務めたグレタ・ピーシュ氏によると、同党内では、状況次第で拒否権を覆すのに十分な数の共和党議員を説得できる可能性を検討する動きがあるという。

<生活費抑制へ>

税制・通商を所管する下院歳入委員会の委員長に復帰する見通しのリチャード・ニール下院議員(民主党)は「国民のニーズを最優先」する政策を策定すると表明。「国民は買い物や給油のたびに、トランプ氏の不要な対イラン戦争や物価を押し上げる関税の代償を払わされることにうんざりしている」と述べた。

戦略国際問題研究所(CSIS)の非常勤通商顧問、ウィリアム・ラインシュ氏は、関税免除の判断に対する大企業の影響力や、中小企業への関税の悪影響などトランプ氏の通商政策の運用を巡り、民主党が公聴会で調査できる材料は豊富にあると指摘した。

ただ、民主党はトランプ氏の関税政策の悪影響を取り除くことに注力する可能性がある一方、より積極的な通商政策については、まだ党内で意見を集約できていないとした。

また、民主党は伝統的に主要産業を守る多くの関税を支持してきたため、生活費の負担軽減を理由にトランプ氏の関税を全て撤廃することは、党の目標にならない可能性がある。バイデン前大統領はトランプ氏が中国製品に課した関税を全て維持した上で、電気自動車(EV)に100%、その他の戦略物資にも高率の追加関税を課した。

<トランプ氏はさらなる関税を追求へ>

選挙結果を受けても、トランプ氏が進行中の通商調査に基づく新たな関税の導入を断念することはないとみられている。その一例が、過剰な生産能力を対象とする通商法301条に基づく不公正貿易慣行の調査で、中国、インド、ベトナムなど主要貿易相手国からの輸入品に新たな関税が課される可能性がある。

法律事務所エイキン・ガンプの通商担当パートナーで、第1次トランプ政権でホワイトハウスの通商顧問を務めたケリー・アン・ショー氏は、トランプ氏が数十年にわたって関税を支持し、貿易相手国から譲歩を引き出す効果を信じていると指摘。「トランプ氏が手を緩めるとは思わない。同氏は政権の実績を歴史に残そうとしている」と述べた。

ただ、トランプ氏の任期終了が視野に入り始める中、貿易相手国がこれまでと同じように、譲歩に向けた交渉に応じるかどうかは不透明だとした。

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