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[ロンドン 4日 ロイター] - 米中間選挙でトランプ大統領が属する与党・共和党が大敗したことを受け、欧州の極右系政治指導者らの間でトランプ氏と距離を置く姿勢が出始めている。ただ、多くはトランプ氏本人への直接的な批判は避けている。
欧州の極右系政治指導者の多くは、トランプ氏の2024年大統領選での勝利を受け思想的な近さを公然と称賛。一部は首都ワシントンを訪問したほか、トランプ氏の盟友の実業家イーロン・マスク氏の支援も受けるなどしていたため、トランプ氏に対する姿勢の変化は注目される。
こうした変化を象徴する1人が、世論調査で次期政権を担う可能性もあると見られているフランス極右政党「国民連合(RN)」のバルデラ党首。バルデラ氏は、トランプ氏の2期目政権は2017─21年の1期目ほど孤立主義的ではないとし、「イランを巡る米国の介入は世界経済に極めて大きな影響を及ぼしている」と述べた。ただ、その介入の責任がトランプ氏にあるとは明言しなかった。
ドイツでは、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のワイデル共同党首が、中間選挙での共和党敗北の原因はイラン問題にあったと示唆。ニュースサイトTオンラインに対し「トランプ氏は有権者に対し、介入主義的な外交政策を追求しないと確約していた。この確約違反が今になって共和党に跳ね返ってきた」と述べた。
イタリアでは、連立与党の一角を占める極右政党「同盟」のサルビーニ党首が「米中間選挙の結果は、特に戦争や国際的な緊張の高まり、生活費の上昇の影響を受けた。こうした負担は各家庭に直接のしかかっている」と指摘。「今回の選挙結果が紛争終結と平和回復に向けた動きの加速につながることを期待する」と語った。
イタリアの元陸軍大将で極右政党「フトゥーロ・ナツィオナーレ(国家の未来)」を率いるロベルト・バンナッチ氏は、今回の選挙結果で公約を実現できなかった場合の政治的リスクが示されたと指摘。通信社ANSAに対し「トランプ氏は期待に応えることができなかった。ロシアとウクライナの戦争を終わらせることもできなかった上、イランとの戦争を始めた」と述べ、こうしたことに伴うエネルギー価格の上昇や経済・株式市場の混乱で米国の中間所得層が打撃を受けたことが中間選挙の結果につながったとの認識を示した。
バンナッチ氏は当初はトランプ氏の「米国第一主義」に基づくナショナリズム政治を称賛していたが、その後は外交政策を巡りトランプ氏を批判していた。
一方、ルーマニアの野党・強硬右派政党「ルーマニア人統一同盟(AUR)」のドゥンガチウ副党首は、トランプ氏の「政治的な死」を伝える報道は「大いに誇張されている」と指摘。「トランプ氏が自動的に無力な大統領になるわけではない。むしろ共和党が議会多数派を握る体制から、行政府と議会がより強く相互に牽制し合う体制へ移行するだけだ」と述べた。
政治リスク分析会社ユーラシア・グループのマネジングディレクター、ムジタバ・ラーマン氏は、欧州の極右政党指導者らは政治的な利益を意識してトランプ氏と距離を置こうとしていると指摘。ロイターに対し「特に生活費の高騰を巡ってトランプ氏に対する不満が高まる中、かつては政治的な資産だったものが選挙上の重荷に変わるリスクがある」と述べた。
その上で、欧州の極右指導者らは「トランプ主義がもたらす思想的な追い風」は享受したい一方で、「トランプ政権に伴う混乱や経済的な混乱」の責任は負いたくないという、都合の良い立場を取ろうとしているように見えると指摘。「欧州の極右勢力を欧州既成政治との戦いにおける思想的な同志とみなしているトランプ氏や『MAGA(米国を再び偉大に)』陣営が、政治的支援を引き揚げたり、さらには敵対したりする可能性もある」と警告した。