Anna Hirtenstein Timour Azhari Jarrett Renshaw
[ロンドン 3日 ロイター] - 米富豪のトッド・ボーリー氏が率いる企業連合が、制裁対象となっているロシア石油大手ルクオイルの株式類と引き換えに海外資産の取得を目指す取引の準備を進めており、数週間以内の合意が見込まれる。事情に詳しい関係者4人が明らかにした。
3人の関係者の話では、この企業連合の代理を務める銀行は、欧米の投資ファンドから「塩漬け」状態にある数十億ドル規模のルクオイルの株式や預託証券を買い集めており、これをルクオイルの海外資産と交換する計画だ。証券保有者にはキャピタル・グループなどが含まれる。
取引が成立すれば、1年余り続いてきた売却プロセスが決着する。当初この海外資産ポートフォリオの価値は約220億ドルと評価されていた。対象は欧州、中東、アフリカにある油田、製油所、ガソリンスタンドなど。ただ関係者2人によると、一部資産の操業停止などにより、ポートフォリオ価値は当初から低下している。
今回の取引は、西側諸国の対ロシア制裁が、モスクワへの資金流入を抑制しつつ、ロシア大手企業に海外資産の売却を促すことができるかを試すケースともなる。
企業連合にはボーリー氏のほか、アラブ首長国連邦(UAE)の投資会社インターナショナル・ホールディング・カンパニー(IHC)、アル・ハイル・ホールディングが参加。シリア・カタール系のアルハヤト兄弟や、米政府系金融機関の米国国際開発金融公社(DFC)も支援している。
売却手続きは、米国が2025年10月にルクオイルへ制裁を科した後に始まった。ロイターは今年2月、ウクライナでの戦争終結に向けたロシアとの交渉で圧力を強めるため、米国が売却手続きを遅らせていたと報じている。
関係者2人によると、ボーリー氏率いる企業連合は、取得した株式をルクオイルへ直接移転せず、エスクロー口座で管理することを約束したことで交渉を前進させた。
ボーリー氏率いる企業連合の代理銀行は、米国および英国の約10の投資ファンドに加え、個人投資家向けに証券を保有していた米預託銀行からルクオイルの株式類を購入したとされる。株式類の取得価格は額面の30%程度で、制裁対象資産であることを反映した大幅な割引価格だったという。
西側の投資ファンドは、ロシアによる22年のウクライナ侵攻前にはルクオイル株の大口保有者だった。しかしその後ルクオイル株は主要新興国株指数から除外され、自由な売買ができなくなったため、多くのファンドで評価額が大幅に引き下げられている。