[ソウル/シンガポール 3日 ロイター] - 北朝鮮は3日、世界最大の暗号資産(仮想通貨)交換業者バイナンスからの暗号資産窃取に北朝鮮が関与していたとする米国の主張について、「ばかげた捏造(ねつぞう)にすぎない」と述べた。朝鮮中央通信(KCNA)が伝えた。

米連邦捜査局(FBI)は10月31日、バイナンスの60億ドルを超える暗号資産流出事件に北朝鮮が関与しているとの見解を示した。

KCNAによると、与正氏は「FBIは、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)が『支援』するハッキング組織が事件に関与したとの情報を入手したと主張し、DPRKを『サイバー犯罪国家』に仕立て上げようとしている」と指摘。

「しかし、米国の主張はばかげた言説であり、目新しいものではない」とし、「米国が、世界各地のあらゆるサイバー犯罪がわれわれの仕業であるかのように国際世論を欺いていることは、DPRKに対する重大な政治的挑発だ」と述べた。

トランプ米大統領は、金正恩朝鮮労働党総書記との再会談に意欲を示すが、北朝鮮はトランプ氏による首脳外交再開の提案に公式な反応を示していない。

与正氏は、「非常に不愉快な米国の敵視的態度」を踏まえ、北朝鮮は問題を「再考する」と述べた。詳細には踏み込まなかった。

<資金源>

暗号資産窃取を巡って北朝鮮への監視が強まっている。サイバーセキュリティーの専門家によると、北朝鮮のハッカーは世界でも特に活発に暗号資産を窃取しており、収益は核兵器や米国を攻撃可能な弾道ミサイルの開発資金に充てられている。

ブロックチェーン分析会社エリプティックの推計によると、北朝鮮が26年に窃取した暗号資産は76億ドル相当と、過去に類をみない水準となった。

韓国の専門家は、北朝鮮が異例の速さで反応した背景には、今回の疑惑を受けて収入源遮断への取り組みが強まることへの懸念があるとみている。

慶南大学極東問題研究所の林乙出教授は「既に制裁が科されている中、暗号資産窃取は北朝鮮にとって体制維持と兵器開発の資金を確保する主要な手段のひとつとなっている」と指摘。米国が暗号資産ウォレットや資金洗浄ネットワーク、暗号資産交換業者を対象とする追加措置を講じれば、重要な収入源が断たれる可能性があると指摘した。

韓国中央銀行は、北朝鮮の2025年の国内総生産(GDP)を47兆1800億ウォン(350億9000万ドル)と推計。バイナンスの被害額は、北朝鮮の経済規模の約6分の1に相当する可能性がある。

ブロックチェーン分析会社チェイナリシスは、26年のハッキングによる暗号資産の被害額のうち、北朝鮮が関与した割合は89%と、21年の15%から上昇したと推計した。報告されたハッキング1件当たりの平均被害額は、21年の5065万ドルから26年には1億8565万ドルに増加したという。

チェイナリシスのアジア太平洋地域グローバルサービス担当シニアマネジャー、アレック・ゼブリック氏は「いわば大物狙いだ。より大きな交換業者を標的にしており、実行には時間がかかり、手口も複雑になるかもしれないが、見返りは比較的大きくなり得る」と述べた。

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