日本企業のたとえ小さな取り組みでも、メディアが広く伝えれば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく――。そうした「発信と共創の場」をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版は2023年春、「SDGsアワード」を立ち上げました。
2026年、私たちはこの想いをさらに深化させ、ビジネスと社会貢献の融合により強くフォーカスするため、名称を新たに、ニューズウィーク日本版「サステナビリティアワード」として、第4回のプロジェクトを始動しました。
先の見えない今の時代にこそ、日本企業のたゆまぬ挑戦とサステナブルなビジネスモデルが、世界に求められています。私たちは今年も、日本企業によるサステナブルな取り組みを発信していきます。
近年、自然災害の激甚化、頻発化に伴い、断水が地域の暮らしに与える影響は深刻さを増している。水は飲用だけでなく、入浴や衛生環境の維持など生活を続けるうえで欠かせない。
一方、災害時に必要な水を確保するには、浄水設備や備蓄物資を用意するだけでは十分ではない。自治体、地域住民、支援団体、企業が平時から連携し、いざという時に実際に機能する仕組みをつくっておくことが重要になる。
この課題に対し、防災訓練を起点とした「地域の水レジリエンスモデル」で立ち向かおうとしている企業がある。1951年創業のキッツだ。
「地域の水レジリエンスモデル」を推進
キッツグループが推進する「地域の水レジリエンスモデル」とは、平時の訓練を通じて地域との信頼関係を築き、そのネットワークを災害時の迅速な生活用水確保につなげるという考え方だ。
同社は2011年から地方自治体との防災訓練を本格的に開始。可搬式浄水装置「アクアレスキュー」を使った浄水・給水の実演に加え、地域住民への防災啓発や、水の供給に関する勉強会も各地で実施してきた。2026年には愛媛県、滋賀県彦根市、岡山県、岡山県矢掛町、京都府長岡京市の5地域で防災訓練へ参加した。これまでに参加した防災訓練は25地域にも上る。
災害協定の輪も広がっている。滋賀県彦根市、大阪府大阪市、神奈川県横浜市、千葉県我孫子市、埼玉県さいたま市、岡山県矢掛町、長野県茅野市、千葉県山武郡市広域水道企業団などと連携。さらに地域での勉強会などを通じ、和歌山県田辺市、埼玉県和光市、滋賀県近江八幡市などでは災害発生に備えた「応急給水拠点」の構築につながっている。長野県辰野町、栃木県佐野市、宮城県大崎市、沖縄県伊平屋村などでも、災害・緊急時のバックアップや減災対策として活用されている。
この取り組みの特徴は、訓練を一過性のイベントで終わらせず、地域の備えとして定着させていく点にある。