※“A picture is worth a thousand words.”――1枚の写真には千の言葉の価値がある。世界の今を鋭く捉えるドキュメンタリーから、感性を刺激する芸術的なアプローチまで。連載「Picture Power “世界を物語る”写真の力」からお届けします。   

南アフリカでは今年に入って、反移民団体マーチ・アンド・マーチが主導する外国人排斥運動が活発化。「アバハンベ(出て行け)」をスローガンに、犯罪や失業から住宅危機まであらゆる問題の責任を移民に押し付け、外国人排斥の緊張が一気に高まった。

同団体は不法移民に対して、6月30日までに国外退去するよう要求していたが、実際は合法的なアフリカ系移民を含む多くの外国人が暴力や脅迫にさらされている。「期限」を前に何万人もの人々が国外に脱出した一方で、帰国のバス代を払えない人々は、主要都市に急ごしらえで設置された劣悪な避難民キャンプに身を寄せた。

6月30日に各地で行われた大規模デモでは、参加者の一部が暴徒化。移民排斥を叫んで街を練り歩き、外国人とみられる人々を自宅から引きずり出し、移民が経営する商店で略奪を働いた。

期限を過ぎると国際社会の関心は薄れたが、迫害の日々が終わったわけではない。自らの意思で、または安全に帰れる故郷がなく南アにとどまった数百万人の外国人は、今も差別と暴力の恐怖に怯えながら暮らしている。

Photographs by Tommy Trenchard-Panos

撮影:トミー・トレンチャード
ウガンダの首都カンパラと南アフリカのケープタウンを拠点とするイギリス人ドキュメンタリー写真家兼ライター。アフリカの政治、経済、文化、環境問題のほか、イラクの紛争などを幅広く取材し、英ガーディアン、米ニューヨーク・タイムズなどの主要紙に写真と記事を発表している。 本作は、仏ペルピニャン国際報道写真祭の一環として2025年に創設された報道写真賞「Visa d’or Online」を受賞

【第1045回】

picture power 写真の力
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