[ブリュッセル 20日 ロイター] - 欧州連合(EU)は20日に発表した新たな北極戦略で、「北極圏を含め、石油・石炭・ガスを地中にとどめることを確保する」ことに引き続き取り組む方針を示した。欧州委員会とカラス外交安全保障上級代表(外相に相当)が発表した。

戦略文書は、「北極圏の特有の脆弱性を踏まえ、欧州委はパートナーと協力して北極の環境を保護し、北極の生態系に脅威をもたらす全ての炭化水素資源開発を防ぐ」としている。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は新戦略の発表に際し、ロシアが北極圏で軍事的プレゼンスを再構築しており、同地域の安全保障を支えてきた価値観はもはや当然のものと見なせないと指摘。「北極圏は地政学のプレート(岩板)がぶつかり合う場所の一つだ。他人の最前線ではない。欧州連合の一部だ」と言明した。

ただ、新戦略には、2021年に打ち出した前戦略に盛り込まれていた、北極圏などで今後の炭化水素資源開発を認めないための「多国間の法的義務」実現に向けて取り組むとの誓約や、そうした開発による生産物を購入しないとの誓約は含まれていない。

EU当局者は、変更について「現地の世界情勢は変わりつつあり、この取り組みを始めてから5年が経過した今、各国・各主体の立場を踏まえると、そうした多国間での意思決定に到達するのは一層難しくなっている」との認識を反映したものだと説明した。

ノルウェーはEUに対し、北極圏での新たな掘削への反対姿勢を取り下げるよう求めてきた。老朽化した油田・ガス田が多いノルウェーでは、エクイノールなどが新たな鉱床を発見しない限り、生産量は2030年代に減少に向かう見通し。

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