Andrew Osborn

[モスクワ 19日 ロイター] - トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の対立が強まっている事態を受け、ロシアのプーチン政権内の一部強硬派は歓迎姿勢を示している。ただ、プーチン政権全体としては、米国のウクライナ政策がどこまで変わるか見極めたいとの慎重論が依然根強い。

トランプ氏がゼレンスキー氏への批判を強める中で、ロシアの強硬派からは歓迎する声が上がっている。ロシア安全保障会議副議長のメドベージェフ前大統領は通信アプリ「テレグラム」で、ゼレンスキー氏がかつての支援者から平和と米国の利益の妨げとみなされるようになったと皮肉った。

またプーチン大統領の対米経済交渉担当であるドミトリエフ氏はXへの投稿で、ゼレンスキー氏はトランプ氏への攻撃によって「駆け引きを誤った」と主張した。

しかし、こうした米・ウクライナ間の亀裂がロシアに大きな利益をもたらしたとの見方は、ロシア国内に広がっていない。

親政権系野党「公正ロシア」を率いるミロノフ氏は、トランプ氏とゼレンスキー氏の応酬について、11月の米中間選挙を見据えた国内向け政治だと分析。「ロシアの利益とはほとんど関係がない」と切り捨てた。

ロシアでは、トランプ氏の政策運営に対する不信感もくすぶる。ロシア側は当初、昨年アラスカで開かれたトランプ氏とプーチン氏の会談を、ロシアに有利な形でウクライナ問題を解決する突破口と期待していた。しかし現在では、その成果を疑問視する声も出ている。

トランプ氏がロシア産燃料を巡る制裁を一時解除した措置や、ロシア産原油購入国に対する追加制裁の見送りを決めたことについても、ロシア国内では大きな譲歩とは受け止められていない。原油価格の上昇を避けたいという米国自身の事情が背景にあるとの見方が多いためだ。

一方で、ロシア側が実際の利益として注目しているのは、ウクライナの米国への不満だ。

ウクライナ政府は最近、ロシアによるミサイル攻撃に関する警告情報が十分得られていないほか、戦場通信に利用するスターシールド・システムの利用にも制約が生じていると不満を表明している。

ただ、ロシア国内からは早計な楽観論を戒める意見も聞かれる。国営系メディアRTに寄稿した政治評論家ポレタエフ氏は「ロシアにとって重要なのは、この展開を即時の勝利と取り違えないことだ。ゼレンスキー氏は自らの選択をした。残る問題は、米国がその結果をいつまで受け入れるかだ」と論じた。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。