ドナルド・トランプ米大統領は念願どおりのブラジル政府を手に入れるかもしれない。西半球の覇権をアメリカが握るというドンロー主義(トランプ版モンロー主義)の実現に向かって、重要なパズルのピースがはまりつつある。

10月4日、ブラジル大統領選の第1回投票で、ジャイル・ボルソナロ前大統領の息子である右派の上院議員フラビオ・ボルソナロが得票率47%で首位に立った。左派の現職ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバの得票率は45%。両者は、10月25日の決選投票に臨む。

トランプは正式にボルソナロへの支持を表明したわけではない。だが当選となれば、その父親の代以来最も親米的な政権がブラジルに誕生する。

折しも米政府は戦略物資のサプライチェーンに対する中国の支配力をそぐ努力を進めている。きっと中国は不安を抱きながら事態の推移を注視しているだろう。

ただし既に中国はブラジルでかなりの基盤固めをしてきた。たとえ親トランプ政権が発足しようと、それを崩すのは容易ではない。

貿易統計を見ればよく分かる。今年1~8月にブラジルは中国に771億ドル相当の物品を輸出した。前年同期比15%増だ。その一方で、対米物品輸出は241億ドルで9.7%減っている。

ブラジルと中国の間の2国間貿易総額は1286億ドルに達し、対米の514億ドルを大きく超えた。中国に輸出した大豆だけでも、対米物品輸出の総額を上回る。

ブラジルは地理的には中国よりはるかにアメリカに近い。だがさまざまな意味で、ブラジル政府は米政府より中国政府と近い関係にある。トランプがボルソナロと政治的に連携できても、経済地理を覆すことは無理だろう。

ブラジルの次期大統領は来年1月に就任したら早速、外交関係の仕切り直しを図ることができる。だがこの8カ月間に中国へ出荷した約3億500万トンの輸出品の流れを簡単に変えることはできない。

カギを握る「依存を抜け出せない」分野
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