世代効果

一口に「就職氷河期世代」といっても、定義には幅がある。内閣府の資料では、1990年代の成長鈍化の影響を受けた1974年から1983年生まれを指すことが多い。政府の就職氷河期世代支援策は、おおむね1993─2004年に学校卒業期を迎えた世代としている。

自身も40代後半で氷河期世代にあたり、同世代を分析した著作がある日本総研の下田裕介・主任研究員は、デフレ期を社会人として過ごした世代には「物価も賃金もなかなか上がらない」というイメージが強いと指摘。一方、デフレを知らない若い世代は、物価や賃金の上昇が特別なものではないと受け止めやすいという。

統計学やマーケティング、社会学などで使われる「世代効果」という分析用語がある。生まれた世代が同じであることで共通して表れる特有の価値観や行動パターンのことだ。下田氏は、エコノミストの予測はあくまでデータに基づいて行うものだが、自身が経験した経済・社会環境を完全に切り離して考えることは難しいと指摘する。

40代前半で氷河期世代のやや下の世代にあたる大和証券の末広徹チーフエコノミストは、就職は比較的しやすかったが、賃金は低水準で抑えられていたと指摘。多くの人にとって賃上げが当たり前との感覚が広がり始めたのは、アベノミクス以降の「官製春闘」が定着してからであり、賃金観については、世代で切り分けることは容易ではないと話す。

AIがもたらす変化は

社会人となった時代や経験の違いは、社会の変化をどう評価するかにも影響する。代表的なのはAIの捉え方だ。日本ではAI需要を背景とした半導体需要の拡大やデータセンターの整備などが注目されているが、中期的には人々の働き方を変える力を持つ。

シニア人材の価値が高まる一方で