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[ブリュッセル/キーウ(キエフ) 16日 ロイター] - ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、トランプ米大統領がロシアと結んだ軽油取引の合意を批判する一方、欧州の同盟国が和平交渉で役割を拡大する可能性を歓迎した。ロシアの姿勢については、和平交渉の「茶番」だと述べた。

ゼレンスキー氏はブリュッセルで開かれた欧州連合(EU)首脳会議で、ロシアは和平を望んでいないと指摘。戦場での作戦や、前線から遠く離れた都市を攻撃するロシアの無人機の撃墜に使うスペースXの衛星システム「スターシールド」に、依然として障害が生じていると述べた。

トランプ氏がロシアの製油所に対するウクライナの攻撃を「恥ずべきこと」と呼び、同国を再び批判する中、EU首脳はゼレンスキー氏への支持を示した。ゼレンスキー氏は首脳会議への到着時、出席する各国首脳を、あえて「真の指導者たち」と呼んだ。

EUがゼレンスキー氏を迎えたのは、ウクライナにとって極めて厳しい局面だった。国内の都市にはミサイルや無人機による攻撃が降り注ぎ、米国が情報共有や武器支援を縮小する恐れも出ている。

それでも、ゼレンスキー氏の発言からは、米国に対する姿勢を軟化させる意向はほとんどうかがえない。記者会見で、トランプ氏からエネルギー価格の高騰やイラン戦争の展開について責任を押し付けられていると感じるかと問われると、長い間を置いてほほ笑み、「これが私の答えだ」と述べ、会場の笑いを誘った。

<「プーチン氏の懐に資金」>

トランプ米大統領は9日、ロシアのプーチン大統領と電話会談を行い、ロシアが米国と世界市場にディーゼル(軽油)を供給することで合意したと発表した。

この合意は、ウクライナや欧州の同盟国の反発を招いた。

ゼレンスキー氏は首脳会議に合わせて開いた記者会見で「今や、この軽油取引を通じて、資金が再びロシアに流れ込み始めることが分かる。この軽油取引では、ホルムズ海峡の情勢が世界市場に及ぼす影響を到底相殺できない。しかし、プーチン氏の懐に直接入る資金を増やし、この戦争の資金源になる」と語った。

また、ロシアのプーチン大統領はいかなる形の和平交渉にも関心がないと非難した。「プーチン氏は今、どのような形であれ和平交渉を望んでいない。自分たちは対応していると主張し、言葉遊びをしている。率直に言えば、戦争を終わらせたいという真の意思を装った茶番に見える」と語った。

ゼレンスキー氏はEU首脳に対する演説で「27年の戦費は1550億ユーロに上る。防衛や武器、そしてわれわれが持ちこたえるために、皆さんから少なくとも700億ユーロの追加支援が必要だ。これは現実的な金額だ。この支援を確保してほしい。ロシアを食い止める助けになる」と訴えた。演説内容は後にXに投稿した。

<EU首脳の苦慮>

ウクライナ指導部は、スターシールドの障害に危機感を強めている。

スターシールドは、米実業家イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業スペースXが展開する衛星通信サービス「スターリンク」を基盤とする軍事・政府機関向けシステムで、ウクライナ軍はドローン(無人機)運用や部隊間通信に活用している。

米当局者は、トランプ氏がスターシールドの意図的な速度低下を指示したことを否定した。トランプ氏も今週、ウクライナとの情報共有は続いていると述べた。

ゼレンスキー氏は、稼働状況は改善したものの、まだ完全には復旧していないと説明。障害が民間人を危険にさらしていると述べた。

EUのカラス外交安全保障上級代表は「スターリンクはウクライナにとって本当に必要だ。残念ながら、欧州は短期的にはこの機能を代替できない」と述べた。

トランプ米大統領は15日放映のニュースマックスのインタビューで、ウクライナによるロシア製油所への攻撃再開は「恥ずべきこと」であり、世界のエネルギー価格の高止まりを招いていると述べた。

ロシアも、製油所への無人機攻撃を公に認め、国営メディアで映像を放映した。通常の対応とは異なり、攻撃を大きく取り上げるためだった。

EU首脳は、米国がロシア産軽油を購入する合意を批判する一方、イラン戦争以降に急騰したエネルギー価格への対応にも苦慮している。首脳会議初日の15日には、加盟国間の対立が浮き彫りになった。

16日も隔たりは埋まっていない。スウェーデンのクリステション首相は、EU自体の予算を取りまとめる上で、加盟国の立場は「信じられないほどかけ離れている」と述べた。「この問題では、合意の兆しどころか、そのかけらすらない」と語った。

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