Stefanno Sulaiman Ankur Banerjee

[ジャカルタ/シンガポール 16日 ロイター] - 世界的な株価指数算出会社MSCIは16日、インドネシアの株式市場はもはや「エマージング(新興国)市場」ステータスに値していないとし、グローバル指数から除外する意向を示した。同市場にとって資金流出を招く大きな打撃となっている。

これを受けてジャカルタ株式市場の総合指数は11%急落し、6年ぶりの安値を付けた。1日の下げ幅としては1998年以来の大きさとなった。通貨ルピアは0.6%下落し、1ドル=1万8070ルピアと7月下旬以来の安値を付けた。

インドネシア株は1月にMSCIが所有構造や取引データの不透明さを理由に「フロンティア市場」への格下げを警告して以来苦戦を強いられており、年初来30%以上下落し、世界で最もパフォーマンスの悪い株式市場になっている。

MSCIは、これらの問題に対処するための改革が十分な進展を見せていないとし、フロンティアへの格下げでさえ問題の深刻さを反映し得ないと指摘。インドネシアを「スタンドアローン」ステータスへの移行プロセスに組み入れた。

これは従来示唆されていたよりも厳しい措置で、市場の見直し期間を7カ月延長し、2027年6月までとした。

スタンドアローンに分類されると、インドネシア株は数十億ドル規模のパッシブ投資が追随するグローバル指数から除外され、同指数に連動または対比される運用資金は売却を迫られることになる。

MSCIは発表文で「市場の機能不全を巡っては依然として重大な懸念が残っている」とし、「MSCIはインドネシアを引き続き新興国市場として分類することはもはや適切ではないと考えている」と述べた。

2027年4月までスタンドアローンへの格下げについて市場参加者と協議を行い、市場のガバナンスと機能の改善を示す明確な証拠が見られない限り、再分類を進める方針を示した。決定は同年6月までに公表される。

MSCIによると、市場へのアクセス性や規模、流動性が著しく悪化した場合、スタンドアローンへの再分類が行われる可能性があり、直近の事例としてはアルゼンチンが挙げられる。

UBSはインドネシア株がMSCIの指数から除外されれば、パッシブ運用資金が約40億ドル流出し、アクティブ運用の投資家による資金流出がさらに150億ドルに上る可能性があると試算した。外国人投資家は年初から既にインドネシア株を47億ドル売り越している。

一方、インドネシア証券取引所は16日、同国の資本市場の透明性と健全性を高めるための具体的な措置を講じたと発表。MSCIの独立性を尊重しているとしつつ、今回の判断の根拠についてさらなる説明を求める考えを示した。

今回の発表は、予定されていた見直しの1カ月前に行われ、投資家やジャカルタ当局に衝撃を与えた。インドネシアの金融規制当局トップは、今週MSCIと会合を持った後だっただけに、こうした発表は予想していなかったと述べた。

また、金融安定委員会を率いるスアハシル財務相は、MSCIの発表に関するコメント要請にすぐには応じなかった。

シンガポールのアレシア・キャピタルで東南アジア諸国連合(ASEAN)担当スペシャリストを務めるアンガス・マッキントッシュ氏は、今回の措置は上場企業の大多数の健全性やインドネシア経済の実態を反映していないと指摘。「インドネシアをレバノン、パレスチナ、アルゼンチンと同列に扱うのは理にかなわない」と述べ、「これはインドネシアへの警鐘だ」と語った。

同氏は、インドネシアが市場の透明性に関する問題への対処や、上場企業の浮動株比率要件引き上げに向けた措置を講じてきたことを踏まえると、MSCIの動きは行き過ぎに見えるとした上で、主な問題はインドネシアが「株価操作に明らかに関与している者を処罰できていないこと」だと指摘した。

<投資への疑問広がる>

シンガポールのオールスプリング・グローバル・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、ゲイリー・タン氏は、今回の動きはサプライズだとし、スタンドアローンへの格下げの可能性は指数連動投資家にさらなるリスク回避を促しかねないと指摘した。「ただ、インドネシアにとってより大きな懸念は、株式への直接的な影響よりも、外国資金流出による通貨への潜在的な圧力だと見ている」と述べた。

ピクテ・アセット・マネジメントで新興国株式の運用を担当するタン・アルトゥンダグ氏は「今回の提案は改革のペースに対するMSCIの不満を浮き彫りにしており、同市場が投資先として適切かどうかに一段の疑問を投げかけている」と述べた。「投資への影響は大きい可能性がある」と語った。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。