Tatiana Bautzer
[ニューヨーク 14日 ロイター] - このほど発表された米大手銀行の第3・四半期決算には、債券価格急落(利回り急騰)の影響が色濃く表れた。金利変動の高まりを受けて顧客との取引が鈍り、多くの銀行で債券・為替・商品(FICC)部門の収益が前年同期比で減少した。
第3・四半期には米国債利回りが数十年ぶりの高水準に達し、投資家が金利見通しを見直す中で、市場では急激な価格変動が発生。米長期金利の指標となる10年国債利回りは9月末時点で、2009年以来最大の四半期上昇を記録した。
モルガン・スタンレーのFICC収益は前年同期比7%減少。JPモルガン・チェースは4%減、バンク・オブ・アメリカは17%減だった。一方、ゴールドマン・サックスは横ばいを維持し、シティグループは4%増収と主要行の中で唯一のプラスだった。
モルガン・スタンレーのシャロン・イェシャヤ最高財務責任者(CFO)は「金利は第3・四半期を通じて予想以上のペースで上昇した」と指摘。仕組み取引への需要が低下したほか、信用スプレッドの拡大が債券保有投資家にとって重荷になったと説明した。
バンク・オブ・アメリカのアラステア・ボースウィックCFOは「顧客活動の減少と、金利の大幅な変動を含む市場環境の変化が、クレジット、モーゲージ、地方債を含むFICC事業に大きな影響を与えた」と述べた。
シティグループでは、FICC収益の4%増の大半を外国為替取引とスプレッド商品が占めた。ジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)はアナリスト向け説明会で「金利関連収益は市場環境の影響を受けたが、為替取引とスプレッド商品は伸びた」と解説した。
一方、長期金利上昇は各行のバランスシートにも影響を与え、有価証券ポートフォリオの含み損が拡大した。
バンク・オブ・アメリカが保有する住宅ローン担保証券(MBS)や米国債、政府機関債などの債券ポートフォリオの含み損は9月末時点で1090億ドルとなり、6月末の850億ドルから増加した。これらの証券の大半は満期保有(HTM)区分に計上されており、同行は売却を予定していない。
大手行の株式取引部門は大幅な増収になった。ゴールドマン・サックスの株式取引収益はデリバティブ取引とファイナンシング業務の拡大を背景に前年同期比72%増加。モルガン・スタンレーは41%増、JPモルガンは49%増だった。
バンク・オブ・アメリカとシティグループもそれぞれ11%増、14%増と伸びたものの、主要行の中では比較的小幅な増加にとどまった。
オッペンハイマーのアナリスト、クリス・コトウスキー氏は、株式取引収益への依存度上昇について「収益の変動リスクが高まる可能性がある。こうした収益には『得やすい一方で失いやすい』側面がある」と顧客向けリポートで警鐘を鳴らした。