Suzanne McGee
[プロビデンス(米ロードアイランド州) 14日 ロイター] - 人工知能(AI)モデルが運営する上場投資信託(ETF)の方が、人間よりも迅速にデータを処理し、より優れた投資判断を下すとの見方から、一部の資産運用会社がAIに全面依存するETFを導入し始めた。ただ業界全体では依然としてAI依存への警戒感が残っている。
リサーチから銘柄選定に至るまで、全てAI駆動のボットのみに依存しているETFは今のところ6本未満で、運用資産額はETF業界全体の約17兆ドルに対して合計約3000万ドルにとどまっている。
ただAIは、大半の資産運用会社の投資プロセスに着実に浸透しつつある。マーサーが今年実施した調査では、資産運用会社の91%が今年中にAIベースのポートフォリオ管理ツールの活用を拡大する計画だと回答した。
AIに完全依存する一部ファンドは、市場平均を上回るリターンを達成している。ただし運用実績は数カ月分しかない。こうしたファンドの運用責任者は、このリターンが魅力となりAI完全依存ファンドへの投資は増えていくだろうと言う。
Ai ファンズの創業者であるタル・シュワルツ最高経営責任者(CEO)は「これまでは2つの選択肢しかなかった。パッシブ(受動的)な投資家としてインデックスを保有するか、アクティブな(銘柄を選別する)投資家になるかだ」とした上で「私は第3の選択肢を提供したい。AIがあなたの代わりに全てを行ってくれるという選択肢だ」と話した。
シュワルツ氏は8月21日、何十年分もの市場データを分析する独自のAI学習アルゴリズムに基づいて構築されたETF「ハイ・コンビクション・US・エクイティ・AIマネージドETF」 を立ち上げた。
同ETFはそれ以来2.7%上昇し、同期間におけるS&P500総合500種の1.1%上昇をしのぐ成績を達成した。
他にも、イスラエルの資産運用会社フィンキュー(FinQ)が2月に始動した2つのファンドがS&P総合500種の上昇率を優に上回ったほか、同社の米大型株ETF は為替ヘッジ付きが組成以来25.35%、ヘッジなしが23.93%以上も上昇するなど、AI完全依存のETFは軒並み市場平均を超える成績を収めている。
それでもアドバイザーやアナリストは、これらファンドの運用期間はまだ短く、手数料は平均を超えるため、投資家の関心は限られるかもしれないとくぎを刺す。
チェサピーク・ファイナンシャル・プラナーズのアドバイザー、ジェフ・ジャッジ氏は「アドバイザーは、意思決定に情報を与えるAIなら安心だが、意思決定そのものを行うAIには不安を感じる」と述べた。
多くの資産運用会社は、AIを用いて定量分析や銘柄分析、リスクモニタリングを行う「AI強化型」ETFを展開している。業界関係者によると、こうした慎重なアプローチの方がより一般的だ。
ジュネーブのピクテ・アセット・マネジメントでクオンツ投資部門を率いるデビッド・ライト氏は「当社では7―8年前からAIを用いたモデルのトレーニングを行っており、実際の運用資金に活用し始めてから約4年が経つ」と説明。同氏は投資プロセスにおけるAIの活用を航空機の自動操縦機能になぞらえて「操縦士が乗っていない飛行機には乗りたくない」と話した。