11月28日投開票の台湾統一地方選挙で、思わぬ激戦区として注目を集めているのが台北市長選だ。国民党の現職・蒋万安(チアン・ワンアン)に挑むのは、民主進歩党(民進党)の立法委員、沈伯洋(シェン・ボーヤン)。伝統的に国民党の牙城とされてきた台北で、沈が予想外の健闘を見せている。
同市長選が注目されるのには、もう1つ理由がある。台北市長はしばしば総統への足掛かりとなってきたポストだからだ。陳水扁(チェン・ショイピエン)と馬英九(マー・インチウ)の両元総統もかつて台北市長を務めていた。
とはいえ台北で民進党候補が勝つのは容易ではない。国共内戦後、国民党と共に台湾へ渡った人の多くが台北に定住したこともあり、同市は長く国民党の牙城とされてきた。
これまで民進党から台北市長になったのは陳水扁だけ。2014年には柯文哲(コー・ウエンチョー)が民進党など緑色陣営の支援を受けた無所属候補として当選したが、勝利を後押ししたのは民進党色よりもむしろ「無所属の政治家」としての評判だったとみられている。
だから沈の出馬が決まった当初、勝算は低いとの見方が圧倒的だった。民進党のために捨て石になる役回りを引き受けたという見方さえあった。
次のページ