Leika Kihara

[バンコク 14日 ロイター] - フィリピン中央銀行のレモロナ総裁は14日、アジア各国は1990年代後半に同地域で起きた通貨危機の記憶を忘れず、同様のショックの再発に警戒する必要があると述べた。

レモロナ氏は、国際通貨基金(IMF)が開いた東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済見通しに関するパネル討論で、97年にアジア通貨危機が始まる前、域内経済には巨額の資本が流入し、世界銀行が「東アジアの奇跡」と呼ぶ状況にあったと指摘した。

「アジアに投資が流れ込んだが、その後危機が起きた。実際には奇跡ではなかったからだ。このことを改めて思い起こし、同様の危機に警戒しなければならない」とし、「われわれはこうした危機を検証する努力をあまり行ってこなかった」と述べた。

IMFアジア太平洋地域局長のクリシュナ・スリニバーサン氏はこれに対し、IMFは金融面の脆弱性や各国間で起こり得る波及の評価を進めてきたと指摘。

「われわれは(危機の教訓を)深く受け止め、各国が変動の激しい資本フローにどう対応すべきか、例えばどのような場合に為替市場に介入すべきかなどを議論する枠組みを整備してきた」と述べた。

また、ASEAN諸国は米国の関税による貿易摩擦を比較的うまく乗り切ってきたものの、一部の国は石油・ガス輸入に大きく依存しており、エネルギー集約度が今後の見通しに対するリスクの一つになり得るとした。

日本の三村淳財務官も、地域経済の見通しに対する短期的なリスクとして、中東紛争に伴うエネルギーショックやインフレの加速を挙げた。

三村氏は、エネルギーショックが家計や企業に与える打撃を和らげるための財政支出で各国がどう規律を保つべきかについて「財政支援は『トリプルT』、すなわち対象を絞り(targeted)、状況に応じた(tailored)、一時的(temporary)なものであるべきだ」と述べた。

また、多くの国が中国との競争圧力に直面する中、ASEAN各国は重要鉱物やエネルギーの供給網を多様化するため、投資の一段の強化に重点を置くべきだとし、日本としてもこうした取り組みを支援する意向を示した。

「全てのASEAN諸国は人工知能(AI)やイノベーションに常に追いつけるよう、さらに投資を進めるべきだ」とし、「同時に、ASEAN諸国は重要鉱物を生産していることから、デジタル化のサプライチェーンにおいて非常に有利な立場にある」との見方を示した。

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