Andrea Shalal

[バンコク 12日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は12日、人工知能(AI)インフラへの旺盛な投資によって世界経済の成長率が3%前後に維持されており、タイなどハードウエアを供給する多くのアジア諸国が大きな恩恵を受けているという認識を示した。

タイの首都バンコクでこの日開幕したIMF・世界銀行年次総会で、AI投資ブームは既に「需要ショック、投資ショック」をもたらしていると指摘。アジア先進国の経済成長率を0.5─1.0%ポイント、アジア新興国の成長率を0.2─0.8%ポイント押し上げる可能性があると述べた。

「エネルギー供給ショックが足かせとなっているにもかかわらず、世界経済が3%前後の成長を維持しているのは、こうした投資の加速によるものだ」と語った。

IMFは7月、2026年の世界経済成長率を3%と予測した。13日に最新の見通しを公表する。

<AIがもたらす大きな影響>

ゲオルギエワ氏は、AIを「ゆっくりと押し寄せる津波」に例え、雇用や成長、教育に大きな影響を及ぼすと指摘。労働から資本への移行が見込まれることから、政府が課税を通じて税収を確保する仕組みにも大きな影響が及ぶとの見方を示した。

IMFの推計では、AIによって、時間の経過とともに雇用の40%が能力強化、あるいは質や価値の低下、消失につながる可能性があるという。初期の調査では、米国の雇用の10%で既にAIスキルが求められていることが示された。定型的な反復作業を伴う仕事が減る一方、賃金水準が比較的低い建設とデータセンターの2分野では、低賃金の仕事が増えているという。

ゲオルギエワ氏は「AIは変革をもたらす技術だ。われわれの働き方や暮らし方を根本から変える」と述べ、自身も今ではAIアシスタントから毎日、予定について30秒間の案内を受けていると紹介した。

AIのサプライチェーン(供給網)では米国、中国、インドが最も重要な生産国だが、必要なインフラを構築する企業の多くはアジアにあると指摘。今年の年次総会の開催国タイにも言及した。

<新卒採用への影響>

雇用問題を総裁任期中の中心課題に掲げる世界銀行のバンガ総裁は、世銀が大規模言語モデルに依存しない「スモールAI」の活用に重点を置き、新興国市場の農家、医療制度、教育関係者などに大きな生産性向上をもたらすことを目指していると述べた。

同じイベントに登壇したシンガポールのシャンムガラトナム大統領は、AIによって新卒者の就職機会が減っている問題に各国政府が対応すべきだと述べた。

「われわれが早急に取り組まなければならない問題がある。就業の最初の段階、つまり卒業後に初めて就く仕事への需要が今減っていることだ」と語った。

AIが途上国と先進国の間で、成長と雇用創出を巡る「新たな格差」を生むことにも警戒すべきだと指摘した。

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