Federico Maccioni Siddarth S

[ドバイ 8日 ロイター] - 複数の不動産開発企業やホテルグループが、シリアへの進出や事業拡大を進めようとしている。歴史遺産が豊富で地中海に面していることから、海外からの観光客に加え、長年海外に暮らしてきたシリア人の需要も取り込めると期待されている。

都市や考古学的遺産に壊滅的な被害をもたらしたシリアの内戦は2年近く前に終結した。しかし今も暴力事件が散発するこの国に観光客を呼び戻すには、依然として大きな課題も残る。

米国は8月、投資家の参入を阻んでいたテロ支援国家指定リストからシリアを削除した。しかし米国務省は今も自国民に、シリアに渡航しないよう勧告している。

それでも昨年から国際線の就航や観光客が戻り始めた。シリア国営通信SANAが報じた政府データによると、2026年上半期の観光客数は前年同期比で2倍以上に増加し、352万人に達した。

シリア事業の機会を検討している中には、フランスのホテルチェーン大手アコー といった国際的グループや、アラブ首長国連邦(UAE)のイーグル・ヒルズなど中東地域のホテル企業が含まれる。

イーグル・ヒルズの創業者であるモハメド・アラバール会長は「ダマスカスは世界最古の都市なので、観光客は常に来るだろう」と述べ、多くの海外在住シリア人が帰国を望んでいると付け加えた。

SANAの報道によると、今年上半期の全観光客のうち、213万人が海外在住のシリア人、約66万人がアラブ諸国から、約72万人がその他の国々からの渡航者だった。

元アルカイダ系組織指導者のシリアのシャラア暫定大統領は、欧米との関係改善に加え、湾岸諸国を含む国外から復興資金数十億ドルを呼び込む取り組みを進めてきた。

イーグル・ヒルズはダマスカスで1000万平方メートル、沿岸部のラタキアで430万平方メートル規模の開発を計画中で、5日には両プロジェクトに関する基本合意書をシリア側と締結した。財務の詳細は公表していない。

一方、UAEの開発会社アラダも、70億ドル規模のプロジェクトでシリアに進出する計画を明らかにした。

<大きな潜在力>

シリアではカタール航空やフライドバイなどが湾岸ハブ空港からの路線を開設し、アクセスが改善しつつある。このため欧米企業も積極的に事業機会を検討している。

アブダビのエティハド航空のアントノアルド・ネベス最高経営責任者(CEO)は先月、現地の支援や顧客の需要次第ではシリアの就航地をさらに追加する可能性があると述べた。

エティハド航空は7日、ダマスカス便を週4便から7便に増やし、毎日運航すると発表した。

アコーの中東・アフリカ・アジア太平洋地域CEOであるダンカン・オルーク氏はロイターに対し、同社が2つのプロジェクトについて詰めの交渉を行っていると明かした。また、米ウィンダム・ホテルズ&リゾーツ もダマスカスやビーチリゾート地で下調べを進めている。

ウィンダムのディミトリス・マニキス欧州・中東・アフリカ(EMEA)担当社長はロイターに「間もなくシリアでの最初の契約締結を発表できると確信している」と語った。

国際的ホテルグループ、マイナー・ホテルズのアミール・ゴルバーグ中東・アフリカ地域担当最高執行責任者(COO)は、ダマスカス旧市街にある一部の歴史的建造物をブティックホテルに改修できるほか、一からプロジェクトを立ち上げることも可能だと説明。「歴史や文明の十字路としての魅力を考えれば、私にとってシリアは真に大きな潜在力を秘めた国の一つだ」と話した。

ダマスカスには数十年前から地元向けのブティックホテルとして営業している伝統的邸宅が少数存在するが、郊外コミュニティーの一部は、政府が発表したいくつかの超大型プロジェクトに抗議している。

観光には他にも障害が存在する。

ビザとマスターカードは先月、シリアで事業を開始すると発表したが、電子決済は今のところ外国の銀行が発行した一部のカードに限定されており、特定の場所でしか利用できない。

シリアはホテルを含むインフラの再建や近代化という課題にも直面している。

世界銀行は昨年、シリアの復興費用は最も保守的に見積もって2160億ドルだと発表した。これには住宅建築の750億ドルや、非住宅構造物建設の590億ドルが含まれている。

ゴルバーグ氏は「この市場の課題は、長年にわたり実質的に孤立していたことだ。そのため、既存の(ホテル)は極めて老朽化している」と語った。

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