
『医者が教える一生パフォーマンスする脳』(日経BP)75頁
整理すると、女性のアルツハイマー病では、病気の影響を受けやすくするふたつの特徴がある可能性がわかります。つまり、ひとつは「神経炎症が強く起こりやすい」、もうひとつは「アミロイドベータがたまったあと、タウの蓄積が進みやすい」というものです。
こうした違いが、女性のほうがアルツハイマー病の影響を受けやすい理由のひとつかもしれません。なぜそうなるのかは、まだ完全にはわかっていませんが、女性ホルモン(エストロゲン)が深く関わっているという説があります。
エストロゲンには、神経細胞や脳の血管を支え、炎症反応を調整する働きがあります。ところが、閉経に伴って、エストロゲンの量は大きく低下します。その結果、脳を守っていたしくみの一部が弱まり、アルツハイマー病の影響を受けやすくなる可能性があるのです。
[注](1)Knudtzon S, Nordengen K, Pålhaugen L, et al. Sexual dimorphisms in innate immune activation markers in predementia Alzheimer’s disease. Brain Commun. 2025;7(3):fcaf161.
下畑 享良 (Takayoshi Shimohata )
医学博士。岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野教授。1992年新潟大学医学部卒業。同大学脳研究所神経内科、米国スタンフォード大学客員講師、新潟大学脳研究所准教授を経て、2017年より現職。日本神経学会、日本神経治療学会などの理事を務め、米国神経学会フェロー(FAAN)。厚生労働省「難病患者の総合的支援体制に関する研究班」研究代表者。脳神経内科医として、認知症、神経難病、自己免疫性脳炎など、幅広い神経疾患の診療・研究に長年携わる。認知症について、治療法の進歩だけでなく、生活習慣や環境、予防につながる最新の科学的知見を日々の暮らしにどう生かせるかという視点から、SNSを通じて発信を続けている。
医学博士。岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野教授。1992年新潟大学医学部卒業。同大学脳研究所神経内科、米国スタンフォード大学客員講師、新潟大学脳研究所准教授を経て、2017年より現職。日本神経学会、日本神経治療学会などの理事を務め、米国神経学会フェロー(FAAN)。厚生労働省「難病患者の総合的支援体制に関する研究班」研究代表者。脳神経内科医として、認知症、神経難病、自己免疫性脳炎など、幅広い神経疾患の診療・研究に長年携わる。認知症について、治療法の進歩だけでなく、生活習慣や環境、予防につながる最新の科学的知見を日々の暮らしにどう生かせるかという視点から、SNSを通じて発信を続けている。
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