フェアトレードタウン、鎌倉

観光客や市民に親しまれ始めたコーヒーに、2023年、転機が訪れる。「フェアトレードタウン」の認定を目指す鎌倉市と市民団体から、同社に協業の打診が届いたのだ。フェアトレードタウンとは、生産者との公正な取引をまちぐるみで推進する都市のことである。認定には、地域の店でフェアトレード商品が幅広く買えることも求められる。

対話を重ね、翌年に発売されたのが、「鎌倉焙煎珈琲 フェアトレードかまくらブレンド」である。国際フェアトレード認証豆を100%使用したこの商品は、市内各所での試飲と投票により、味とパッケージを決定した。売り上げの一部は、鎌倉市の緑地保全基金に寄付される。

そして2025年3月、鎌倉市は国内7番目のフェアトレードタウンに認定された。同月、かまくらブレンドはソーシャルプロダクツ・アワード2025で大賞を受賞した。

「ソーシャルプロダクツ・アワード2025」大賞受賞時の関係者
「ソーシャルプロダクツ・アワード2025」大賞受賞時の関係者

一連の協働の取り組みは、第2回フェアトレード・ジャパン・アワードの優秀賞にも選ばれた。

2026年の全国調査では、鎌倉市民のフェアトレード産品の購入率は36.3%。全国平均15.2%の2倍を超えている。

「卸売業は、多くのステークホルダーとの関係があってこそ商売が成り立ちます。だからこそ、中立的な立場で周囲を広く巻き込むことができると考えています」と久松氏は語る。

60年あまり昔、鶴岡八幡宮の裏山に宅地造成の計画が持ち上がったとき、鎌倉の市民は寄付金を募り、山林を買い取った。日本初の「ナショナル・トラスト運動」とされる出来事だ。自分たちの手で選び、守る。その気風が息づくまちで、一杯のコーヒーが、未来との縁を結んでいる。

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