日本企業のたとえ小さな取り組みでも、メディアが広く伝えれば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく――。そうした「発信と共創の場」をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版は2023年春、「SDGsアワード」を立ち上げました。

2026年、私たちはこの想いをさらに深化させ、ビジネスと社会貢献の融合により強くフォーカスするため、名称を新たに、ニューズウィーク日本版「サステナビリティアワード」として、第4回のプロジェクトを始動しました。

先の見えない今の時代にこそ、日本企業のたゆまぬ挑戦とサステナブルなビジネスモデルが、世界に求められています。私たちは今年も、日本企業によるサステナブルな取り組みを発信していきます。

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日本は、コーヒーの国別消費量で世界4位の「コーヒー消費大国」である。しかし、カフェで私たちが飲む一杯の価格のうち、生産者の手に渡るのは、わずか1%にすぎない。

金銭分配の問題だけではない。チューリッヒ応用科学大学は、今のように気候変動が進んだ場合、2050年にはコーヒー栽培に適した土地が半減すると予測した。産地の森で実り、海を渡り、焙煎され袋に詰められ、店の棚を経てカップに注がれる。コーヒーの持続可能性を高めるには、この長い道のりのすべてを見直す必要がある。そこで力を発揮できるのは、産地と消費者、メーカーと小売の間を取り持つ卸売業だ。

創業300年を超える国分グループで首都圏の食品流通を担う国分首都圏株式会社(東京都中央区)は、鎌倉市内に工場を持つ三本珈琲株式会社とともに、「鎌倉焙煎珈琲」を開発した。原料から包材、製造、売り上げの一部の使途まで、各段階に配慮を重ねたエシカルなご当地コーヒーである。

「地名」から生まれた、自然への配慮

稲村ケ崎から望む富士山を描いた「鎌倉焙煎珈琲 フェアトレードかまくらブレンド」。鎌倉らしい風景がパッケージを彩る
稲村ケ崎から望む富士山を描いた「鎌倉焙煎珈琲 フェアトレードかまくらブレンド」。鎌倉らしい風景がパッケージを彩る

「鎌倉焙煎珈琲」シリーズには、森林や生態系、農園で働く人の暮らしへの配慮を条件とするレインフォレスト・アライアンス認証の豆や、国際フェアトレード認証の豆を使った商品がラインナップされている。

パッケージは紙を主体とすることでプラスチックの使用量を抑え、印刷の一部には植物由来のバイオマスインキが用いられている。製造を担う三本珈琲の工場では、再生可能エネルギーが活用されている。製造工程の一部は、就労支援を受ける障がいのある人々が担っているという。

このコーヒー開発のきっかけは、卸売業ならではの視点にあった。メーカーの商品を小売に届けるのが卸の役割だが、国分首都圏は「選ばれる卸」となるため、グループ専売商品を自ら企画・開発してきた。幅広い取引網を見渡せば、市場の空白も見えてくる。そうして着目したのが、鎌倉という「地名」だ。

「鎌倉は歴史も観光資源も豊かですが、地名にちなんだ加工食品が、同じく古都の京都と比べると非常に少なかったんです。そこに商機があると考えました」と、マーケティング部の久松紀仁氏は振り返る。

2018年に策定したコンセプトで、鎌倉らしさの柱となったのは、「自然との調和」だった。脱プラスチックのパッケージでドリップコーヒーを製造できるまでには時間を要し、商品のかたちが固まったのは2020年。コロナ禍の最中、人が消えた鎌倉を歩き、鶴岡八幡宮で商品の成功を祈ったという。

2021年に発売すると、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が追い風にもなり、やがて取り扱いは全国に広がった。

フェアトレードタウン、鎌倉