そう原氏が話すのが、同社のWell-Being事業のもう一つの柱となる「Wellエンジニアリング」だ。Wellエンジニアリングでは、WELL認証の考え方やエビデンスを、グループ内のパナソニックEWエンジニアリングとともに実際の空間へと落とし込んでいく。

具体的には、まずセンシングによって人の動きや環境を可視化し、従業員へのアンケートなどから働き方や空間の課題を把握する。続いてワークショップを通じて、どのような働き方を目指すのかを整理。そこからゾーニングやレイアウト、設備ソリューションへと具体化し、施工後も従業員の声やデータをもとに運用を改善していく。

また、集中力向上や会話促進のための音響シミュレーションや環境音対策、快適な空間のための空調管理や照明制御など、設備テクノロジーを通じてウェルビーイングな空間を実現できるのも、総合電機メーカーならではと言えるだろう。

ウェルビーイングの「当たり前化」を実現したワークスプレイス
WELL認証取得支援による空間認証と、Wellエンジニアリングによる空間実装(Panasonic Electric Works Co., Ltd.)

事業の成長と持続可能な未来を見据えた製造現場の変革

「診断して共に考え、働くすべての人にとって快適な空間を形作る。そしてその後も、効果を確かめて改善し続けていく。こうしたサイクルを通じて、お客様のライフタイムバリューの向上に貢献していきます」と、原氏は話す。今回、その一例として、同社奈良工場のオフィス改修プロジェクトが公開された。

ウェルビーイングの「当たり前化」を実現したワークスプレイス
パナソニックEW奈良工場。200名が働く2700平米の工場内オフィス全体を改修

奈良工場はメーターデバイスの製造・開発などを行う拠点で、これまで技術部門と品質部門が間仕切りによって物理的に分けられ、部門を越えたコミュニケーションや情報共有に課題を抱えていた。同工場の森田桐亘氏は、「今後、工場の持続的な成長を目指していくためには、生産性や従業員エンゲージメントの向上、人材の定着なども重要と考えていました」と話す。

そこで目指したのが、単なるレイアウト変更ではなく、「人がつながり、新しい価値を生み出せる働く環境」への転換だった。

プロジェクトでは従業員アンケートや部門代表者へのヒアリング、ワークショップを実施。そこから「部門を超えて交流して新たな価値を創出したい」「集中とリフレッシュを切り替えたい」「出社したくなるような魅力ある職場をつくりたい」といったニーズが浮かび上がった。

そうして生まれたコンセプトが「Co-Creation GYM(コークリエーションジム)」だ。

リフレッシュの空間が新たなアイデアにつながる