「ウェルビーイング」という言葉が、企業経営のキーワードとしてより存在感を増している。背景にあるのは、深刻化する人手不足や激化する人材獲得競争だ。昨今の企業には人を「資源」ではなく「資本」と捉える人的資本経営が求められ、結果的に従業員のウェルビーイング(身体的精神的、社会的に満たされた状態)が企業にとって重要な命題となっている。
「ウェルビーイングへの投資は、エンゲージメントや生産性、定着率の向上、さらには創造力や競争力の促進につながるもの。ウェルビーイングは今や流行りでも福利厚生でもなく、企業の成長を左右する経営課題そのものとなっています」
そう話すのは、パナソニックエレクトリックワークス(以下、パナソニックEW)ソリューションエンジニアリング本部Well-Being事業開発室室長の原尚史氏。
そうした企業の在り方の変化や、ウェルビーイング市場の進展を受け、パナソニックEWでは2020年頃からWell-Being事業を本格展開してきた。柱となるのは、「WELL認証取得支援サービス」と「Wellエンジニアリング」の2つだ。
WELL認証とは、光、空気、音、温熱といった空間のハード面から、心やコミュニティなどのソフト面まで、人の健康や快適性を評価する国際的な空間評価基準のこと。パナソニックEWは国内製造業では唯一のWELL認証コンサルタント会社であり、2025年度には運営元の国際認証機関であるIWBIから、企業部門の「アジア年間最優秀コンサルタント賞」を受賞している。
同社ではそうした取り組みを通じ、約1万3000人を対象とした調査データを解析。結果、WELL認証を取得したオフィスは未取得のオフィスに比べ、集中や心地よさ、組織への愛着など多くの項目で満足度が高く、ワークエンゲージメントや主観的ウェルビーイングのスコアでは約10ポイントも高くなることが実証された。
「ウェルビーイングは非常に感覚的かつ概念的ですから、その効果効能の可視化というところが非常に難しい。一方で我々には効果の裏付けとなる約1万3000のデータがあります」