製造業雇用の成果まちまち

トランプ氏は24年の大統領選挙で、高率関税と規制緩和を活用して製造業の雇用を拡大する方針を掲げた。製造拠点の海外移転によって大きな打撃を受けた地域で、中間層が再び経済的な機会を得られるようにすることが狙いだった。

しかし米国では、生産性の向上という好ましい要因もあって、製造業の雇用者数は半世紀近くにわたって減少傾向にある。製造業の雇用者数は1979年半ばに約1950万人でピークを迎え、当時は非農業部門の雇用全体の5分の1以上を占めていた。足元では多少持ち直しているとはいえ、現在の製造業雇用は1260万人にとどまる。トランプ氏が25年1月にバイデン前大統領から政権を引き継いだ時点と比べても、なお約2万1000人少ない。

さらにバイデン政権の中盤に記録した直近のピークである1290万人との差は一段と大きい。

トランプ政権による積極的な関税政策は経済に大きな混乱をもたらした可能性があるが、これまでのところ米国の雇用構造そのものを大きく変えるには至っていない。人材需要は依然として高齢化する米国社会のニーズに沿った分野へ傾いている。これは、約33兆ドル規模に達する開放された経済の米国で、政府が政策によって雇用の行方を思い通りに変えることがいかに難しいかを物語っている。

インフレが打ち消す賃金上昇の恩恵

働く世帯にとって結局のところ重要なのは「仕事はあるものの、暮らしが豊かになっているという実感は得にくい」という点だ。

税引き後に実際に手元に残り、消費や貯蓄に回すことのできる可処分所得を物価変動の影響を除いてみると、最近の前年比伸び率は小幅で、2%を下回る状況が続いている。失業率が低くても、同時に賃金の伸びも比較的鈍い。背景には、自動化の進展や設備投資の増加、企業利益の好調さなどが影響している可能性がある。

過去には、実質可処分所得が年間3%程度伸びることがより一般的だった。

[ロイター]
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