米国では、トランプ大統領と与党共和党が「失業率4.2%」という数字を抱えて11月3日の中間選挙を迎えようとしている。歴史的に見れば低水準で、多くのエコノミストが「完全雇用」と見なす水準でもある。つまり米国の雇用市場が堅調であることを示す数字だ。

ところが、多くの米国有権者の受け止め方はそうではない。世論調査では、トランプ氏と共和党による経済運営への評価は低迷している。その背景には、現在の雇用市場が新型コロナウイルスのパンデミック後に見られた好況期とは大きく異なっていることがある。当時の労働者には、より高い賃金を求めて転職するだけの交渉力があったが、そうした状況は既に終了した。物価上昇が賃金の伸びを相殺する一方、移民規制の強化や国外退去措置によって、経済成長の土台となる労働力人口も伸び悩んでいる。雇用自体は増え続けているものの、増加ペースは大幅に鈍化した。

米労働省が2日発表した9月雇用統計は、中間選挙を前に公表される最後の雇用情勢の「通信簿」で、この最新統計から米国の雇用市場が現在どのような状況にあるのかを見ていく。

低い失業率

低失業率は、米国経済の底堅さを支えてきた大きな要因だ。パンデミック時に失業率が急上昇し、その後急速に回復した特殊な時期を除けば、米国の失業率は2017年ごろから4.5%以下で推移してきた。この水準は、少なくとも完全雇用に近い状態と考えられる。その意味では、現在の雇用環境は第2次世界大戦後の復興が進んだ1950年代や、労働需給が逼迫していた1960年代にも匹敵する。インフレ率が高止まりしているにもかかわらず家計消費が底堅さを保っている理由の一つも、極めて単純で、人々に仕事があるからだ。

労働力人口の課題