Danielle Kaye Angela Christy M
[1日 ロイター] - 米スポーツ用品大手ナイキは1日、追加の人員削減や世界事業の再編を含む新たな経営改善策を発表した。2027会計年度売上高が1桁台後半の減少率になるとの見通しも示し、エリオット・ヒル最高経営責任者(CEO)の下で進める業績立て直しの取り組みを加速させる。
ナイキはヒル氏の就任後の約2年間、ランニングなど主要スポーツ分野への注力や、卸売業者との関係再構築を通じて成長回復を目指してきた。ただ今回示した業績予想は市場の想定に届かず、同社の苦境が今後少なくとも数四半期続く可能性を浮き彫りにした。特に中国事業の低迷が深刻で、第1・四半期の同事業売上高は為替変動の影響を除いたベースで前年同期比26%減少した。ヒル氏による再建策の進展の遅さを巡る投資家の懸念が強まった形で、ナイキ株は時間外取引で一時4%下落した。
アナリストが業績悪化の大きな要因として挙げたのは、ナイキが消費者を引き付ける新商品を十分に投入できなかった点で、販売促進や値引きも増えている。
こうした中で事業運営体制を、これまでの世界4地域体制を「米州」「アジア太平洋・中華圏」「欧州・中東・アフリカ(EMEA)」の3地域に再編。インドには人材確保などの機能を備えた新たな拠点を開設する計画だ。
再編に伴う人員削減については、対象となる人数や職種は現時点で決まっておらず、従業員への通知は27年に開始する。今回打ち出した措置は、既に発表している人員削減を含めた構造改革を拡大するもので、31会計年度までに約25億ドルのコスト削減効果を見込む。
かつてナイキの収益を支えた中国事業は、海外の競合企業や中国国内のスポーツ用品メーカーが存在感を高める中、低迷が続いている。中国はナイキの年間売上高の約15%を占め、北米、欧州・中東・アフリカに次ぐ3番目に大きな市場だが、売上高は9四半期連続で減少した。
ナイキは最近、中国で一部の大手小売業者に認めているオンライン販売権を1月から取り消す方針を示した。価格設定や流通への統制を強め、販売回復につなげる狙いがある。
ただアナリストからは、こうした措置が過度な値引き販売の抑制にはつながるものの、中国の消費者にナイキ製品を再び選ばせることができるかを疑問視する声も出ている。BNPパリバのシニアアナリスト、ローラン・バシレスク氏は調査リポートで「ナイキが中国で抱えているのは販売チャネルの問題ではなく、商品の問題だ」と指摘した。
第1・四半期(6─8月)売上高は112億ドルとなり、LSEGがまとめたアナリスト予想平均の113億2000万ドルを下回った。第1・四半期の粗利益率は42.8%と、前年同期から0.6ポイント上昇。倉庫保管費や物流費の低下が寄与した。