Michael S. Derby
[ニューヨーク 1日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者のうち2人が今週、金融政策の次の一手を決める前に、より多くのデータを見極める必要性があると主張したことを受け、市場では次回10月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測が後退した。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は29日、年内にあと1回の利上げが適切になる可能性があるとした上で、次回の利上げ時期を判断するために連邦準備理事会(FRB)には経済指標を見極める時間的余裕があると指摘。「FRBは9月のFOMCで政策措置を決定したため、(現在は)性急に行動する必要はない」と述べた。
FRBのジェファーソン副議長も1日、同様の見方を示した。同氏はバージニア大学ダーデン経営大学院での講演で、9月の会合で決定された利上げは支持するとしたものの、追加利上げを急ぐ必要はないとの考えを提示。「経済指標の動向、見通しの変化、リスクバランスを慎重に見極めた上で、今後の政策調整を決定していく必要がある」と述べた。
ウィリアムズ氏の発言を受け、市場ではFRBが10月27─28日のFOMCで追加利上げに踏み切るとの観測は後退。ジェファーソン氏の発言は、その地合いの変化を確実なものとする一助となった。
世界の大手証券各社は現在、FRBの年内の追加利上げは10月ではなく12月の1回のみになると予想している。
<「異例なほど明確な」ガイダンス>
エバーコアISIのアナリストらは「ジェファーソン氏はウィリアムズ総裁のメッセージを確認した。つまり、FRBは10月会合で連続利上げを行う予定はなく、経済情勢の推移を見極めるためさらに時間をかける方針だ」と指摘。「ウォーシュFRB議長が金利の方向性についてほとんど、あるいは全くガイダンスを示していない状況下で、ジェファーソン、ウィリアムズ両氏のメッセージには重みがあると考える」と述べた。
SGHマクロの米国担当チーフエコノミスト、ティム・デュイ氏は顧客向けのリポートで「利上げに関する市場の織り込みがFRBの想定から乖離(かいり)していたため、ウィリアムズ氏は異例なほど明確にならざるを得なかったと考える。これはFRBのトップがフォワードガイダンスを示していないことの結果だ」と指摘した。
<今後の利上げの可能性>
他のFRB当局者も、金利変更前に一定の時間を置くべきだという見解に同調しており、中には、現在の金利政策では景気減速効果がほとんど、あるいは全く見られていないと懸念する当局者もいる。
ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は1日、9月のFOMC以降に発表された経済指標に基づくと「米経済は自身の想定以上に好調だった」とし、「インフレ率は依然として高過ぎる」と指摘。「経済が極めて強靱で、インフレが自身の想定以上に根強いことが明らかになれば、政策金利を現在の想定を上回る水準に引き上げなくてはならない可能性がある」と語った。ただ、「実際にそうなるかは分からない」とも述べた。
3人の政策担当者はいずれも、インフレが時間とともに緩和すると予想しているが、そのペースについては慎重な見方を示している。
こうした中、FRB当局者は2日発表の9月の米雇用統計に注目。足元の雇用関連データが労働市場の安定を示唆していることから、FRB当局者は金利政策をインフレ抑制に集中させる余地があると述べている。そのため、今回の雇用統計が金利政策の見通しを再び書き換える可能性は低いとみられる。