※近年、激動の国際情勢を表現する語彙は、かつてないスピードで更新され続けています。Tech RightからCognitive Warfare、活人感、AI Slopまで――。ウェブ特集「いくつ知ってる? 世界を読み解くキーワード」では、その背景にある文脈とともに解説します。
Plurilateral Agreements(複数国間協定)
WTO加盟国全てを指す多国間(マルチ)ではなく、2国間(バイ)でもない、一部の有志国間で締結される複数国間の協定。通称、プルリ。
2010年代には、途上国の発言力拡大を背景に、全会一致を原則とするWTOでマルチのルール形成が停滞するようになり、その代替手段としてプルリが注目を集めた。
その後、一層国際社会の分断が進むなか、26年3月の第14回WTO閣僚会議に向けて、アメリカ、EU、イギリス、日本などがプルリ協定を活用したルール形成の重要性を強調する声明を発表したことで、改めて関心が高まった。米中対立の長期化により、当面の間、国際的なルール形成は、価値観の近い複数の国同士で進むとみられている。そのため、プルリは今後の国際情勢を読み解く際に重要な概念となる。
口語では、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)を含む複数国間の自由貿易協定(FTA)や通商協定をマルチと呼ぶことも多いが、WTOにおけるルール形成では、全加盟国を対象とするマルチと一部の有志国を対象とするプルリは明確に区別されている点には留意が必要。
[監修]
赤平 大寿
日本貿易振興機構(ジェトロ)ニューヨーク事務所調査部ディレクター。アメリカの通商政策を中心に調査・情報発信を行う。2015~17年、ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)の客員研究員。

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