[モスクワ 29日 ロイター] - ロシア政府が、国内で事業を展開する外国企業からロシア資産の経営権を事実上取り上げる措置を強化しており、主な対象は欧州企業となっている。政府筋や企業関係者への取材で分かった。ロシア大統領府は、欧州連合(EU)がウクライナ戦争への関与を深めていることが背景にあるとしている。
ロシア政府は今月、スイス食品大手ネスレ、ドイツ卸売大手メトロ、フランス小売り大手オーシャンのロシア資産を一時管理下に置いた。措置について直接知るロシア政府高官の1人は「(欧州によるウクライナ支援への対抗として)非対称な措置を取る時が来た。自分たちがどのような措置を取り、どのような制裁を導入しているのか考えてもらおう」と述べた。
今後どの企業が対象となる可能性があるか、イタリア銀行大手ウニクレディトやオーストリア金融大手ライファイゼンのロシア事業も一時管理下に置かれる可能性があるかとの質問には、「恐れていればいい」と答えた。
あるロシア企業の関係者も、欧州企業がロシア事業の発展を意図的に抑えており、最終的にロシア経済に損害を与えていると主張した。
ロシア大統領府は29日、今回の決定について「非友好国が戦場での直接的な敵対行為への関与を強めている」ことが理由だと説明した。一連の措置は「撤回可能」とされるが、ペスコフ大統領報道官は記者団に「現時点で撤回する根拠は見当たらない。対話を呼びかけたり、状況を是正しようとしたりする理性的な声も、聞こえてこない」と語った。
EUは停戦が実現していない責任がロシア側にあるとし、ロシア政府には真剣な和平協議に臨む意思が見られないと批判している。EUは先週、3000超の個人・団体を対象とする対ロシア制裁を更新した。ロシアによる欧州企業への最新の措置について、EUから直ちにコメントは得られなかった。
ペスコフ氏は、欧州諸国が軍事作戦に直接関与しているとする具体的な証拠や詳細は示していない。ロシア政府当局者はこれまで、EU域内で製造されたドローン(無人機)を含む兵器のウクライナへの供与や、攻撃目標に関する情報、機密情報の提供などを欧州の関与として挙げている。
ラブロフ外相は29日に「自国の兵器がわれわれに対して使用され、われわれがそれを撃ち落としていることを認めるのであれば、何と呼ぼうと構わない。だが、欧州がわれわれに対して戦争を行っていることに疑いはない」と言い切った。
ロシアはまた、ウクライナ戦争を受けてEUがロシアの政府資産約2100億ユーロ(2380億ドル)を凍結していることや、欧州など西側諸国がロシア企業の資産を制裁対象としていることも批判している。
タス通信がまとめたデータによると、戦争開始以降、ロシア政府は外国企業と関係する135社に一時管理措置を導入した。対象の大半はEU加盟国の企業で、フランス食品大手ダノンやデンマークのビール大手カールスバーグなどが含まれる。
米国の大手企業はこれまで同様の措置の対象となっていない。ただロシアで農業資産などを保有する米プライベートエクイティー会社NCHキャピタルなど、一部の中小企業は一時管理下に置かれている。