Andrew Chung

[29日 ロイター] - 米連邦最高裁判所は29日、トランプ政権が移民を出身国以外の「第三国」に送還する際、送還先で迫害や拷問などの被害を受ける恐れがあると訴える機会を事前に与えずに送還できる政策について、当面の再開を認めた。大量送還を掲げて移民取り締まりを強化するトランプ政権にとって追い風となる。

最高裁は、国土安全保障省による第三国への送還政策を違法とした東部マサチューセッツ州ボストンの連邦地裁、ブライアン・マーフィー判事の判断について、効力停止を求めた司法省の緊急請求を受け入れた。最高裁は12月に口頭弁論を開いた後、政策の適法性について正式な判断を示す。マーフィー判事の判断は、ボストンの第1巡回区連邦控訴裁判所も18日に大部分を支持していた。

最高裁判事のうちリベラル派の3判事は、訴訟の最終決着まで待たずに送還再開を認める決定に反対した。

マーフィー判事の判断は、移民の権利擁護団体が移民を代表して起こした集団訴訟で示された。原告側は、米政府が送還先を事前に通知せず、迫害などの危険を申し立てる機会も与えないまま第三国に移送することの差し止めを求めていた。

人権団体の集計では、昨年導入されたこの政策に基づき、これまでに2万5000人を超える移民が29カ国に送還され、その大半はメキシコに送られた。

第三国への移民送還は、昨年の政権復帰以降、不法移民の大量送還を最優先課題の1つとして掲げるトランプ大統領が進めてきた移民対策の一環。政権は、国務省が犯罪や誘拐、武力衝突の危険を理由に米国人に渡航しないよう勧告している南スーダンをはじめ、ウガンダ、赤道ギニア、リベリア、中央アフリカなどへの第三国送還を実施してきた。

国土安全保障省のジェームズ・パーシバル法務顧問は最高裁の決定を歓迎し、交流サイト(SNS)で「罪を犯した不法移民と、国境開放を主張する活動家の双方にとって悪い日だ」と投稿した。

一方原告側の代理人を務める全米移民訴訟連盟のトリナ・レアルムート弁護士は「最高裁は、迫害や拷問を受ける恐れのある第三国に人々を送ることを政権に再び認めた。送還先の通知を受けたり、危険を訴えたりする機会すらないまま飛行機に乗せられかねない人々にとって、壊滅的な結果だ」と批判した。

マーフィー判事は今年2月、第三国への送還政策について、移民法上の手続きや米憲法修正第5条が保障する適正手続きに違反するとの見解を示した。適正手続きは一般的に、政府が個人に不利益な処分をする前に、通知や意見を述べる機会を与えることを求めている。

最高裁はこれまでにもトランプ政権の厳格な移民政策を相次いで容認している。今回の訴訟でも、マーフィー判事が正式な判断を下すのに先立って第三国への送還を一時停止した仮処分の効力を解除して、政権側の主張を認めた後、南スーダンに送還される男性らを保護するため同判事が設けた制限も取り消した。

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