Joan Faus

[バルセロナ 23日 ロイター] - スペイン北東部カタルーニャ自治州は約10年前に独立運動が失敗に終わって以降、独立から移民や犯罪といった問題へと有権者の関心が移りつつあり、極右の独立派政党「カタルーニャ同盟」の台頭に拍車をかけている。

同党はバルセロナ郊外の農村部に暮らす労働者階級や中産階級から多くの支持を集め、世論調査で支持率が急上昇。2028年に予定される次期州議会選挙を前に、スペインの国政与党・社会労働党に次ぐ支持率となっている。

カタルーニャ同盟は、富裕な同州で政権を獲得した場合、中央政府からの独立を一方的に進めると主張するが、より重点を置くのは移民抑制と治安改善というメッセージだ。

同党の存在感の高まりは、カタルーニャの政局を塗り替えつつある。今月上旬、バルセロナで同党の支持者と左派の独立派との暴力的衝突を機動隊が阻止する事態が発生。歴史的に独立派が大勢結集してきた9月11日のカタルーニャ「国民の日」の祝賀行事に影を落とした。

この出来事は独立派内部の分断を浮き彫りにし、与党・社会労働党を追い落とすための連立工作を複雑化させる可能性がある。従来の独立派政党は、カタルーニャ同盟との連立合意を拒否している。

同党の支持が拡大するにつれ、他の独立派政党も以前より保守的な立場を取り始め、州による移民制限を認めるよう中央政府に働きかける動きも見られる。

カタルーニャ同盟への支持は、従来の党派の境界線を越えて広がっている。7月に公表されたカタルーニャ州政府の調査によると、支持者の多くは、以前は中道右派の独立派政党ジュンツや、極右で独立に断固反対する「ボックス」を支持していた有権者だ。

<率直な党首>

カタルーニャ同盟の台頭は、歯に衣着せぬ物言いで知られる党首、シルビア・オリオルス氏(41)によるところが大きい。中産階級の農家に生まれ育ち、司書になるため学んだ人物だ。

オリオルス氏はロイターに、既存の政治家に対する有権者の不満や、移民によってカタルーニャのアイデンティティーが希薄化しているという懸念を自党がとらえていると説明。「市民はカタルーニャ国家の復活に向けて闘い、自分たちのアイデンティティーを守るための政策を実行するという希望と意欲を取り戻した」と述べた。

同氏は、ドイツのザクセン・アンハルト州で今月、反移民の極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が勝利したことを挙げて「欧州は目覚めつつある」と指摘。「私たち欧州人は、生き残るために自らを守っている」と語った。

カタルーニャ同盟は、23年にオリオールズ氏がリポールの地方選挙で勝利したことで一躍脚光を浴びた。17年にバルセロナで襲撃事件を起こしたモロッコ出身の実行犯の多くがこの山あいの町で暮らしており、同氏の反イスラムの主張は支持を集めた。

同党はその1年後にカタルーニャ州議会で2議席を獲得し、国政と地域政治に進出した。今月エル・ムンド紙が公表した世論調査によると、次回の州議会選挙における同党の支持率は3.8%から16.7%へと急上昇し、左派の独立派政党ERCを2.6%ポイント上回った。

家族が伝統的にERCのような左派独立派を支持してきたエロイ・ラドバンさん(19)も、カタルーニャ同盟支持に転じた1人だ。

ERCやジュンツなどの政党が、17年の住民投票で示されたカタルーニャ独立という住民の意思を実現できなかったことで「裏切られたと感じている」という。こうした独立派政党とスペインのサンチェス首相(社会労働党)との協力関係も批判している。

ラドバンさんは、カタルーニャ同盟が掲げる移民の完全禁止の要求を支持しており、その理由として「カタルーニャがどんどんカタルーニャらしさを失っている」からだと語った。

<変化する関心事>

カタルーニャ同盟への支持拡大は、有権者の優先課題の変化と軌を一にしている。

7月の調査では、手ごろな住宅の確保、移民、犯罪が関心事の上位を占めた。2年前には、政治への不満やスペインの他地域との関係が最上位だった。

歴史家のホアン・エスクリエス氏は「(17年の)独立運動は経済的な不安が動機だったが、カタルーニャ同盟が応えているのは人口構成の変化に関する不安だ」と分析する。

同氏によると、カタルーニャ同盟の台頭は「独立に向けた現実的な道筋が見えないことへの不満の表れであり、新たな移民の波が(カタルーニャの)言語に一層大きな脅威をもたらすとの恐れから生じた叫びだ」という。

独立派は内部分裂を抱え、10年にわたる政権運営の末に24年に州知事の座を失ったが、独立に対する支持は根強い。 7月の調査では、独立を支持する割合は45%と、17年のピーク時の49%に比べて小幅な減少にとどまった。

ただ、カタルーニャ同盟は解決策を示すのではなく、有権者の不満につけ込んでいるだけだとの批判もある。左派の独立派ハグ・ルチェッティさん(45)は今月の抗議集会で、カタルーニャ同盟以外の独立派は「排他的で人種差別的な言説」と闘わなければならないと訴えた。

「独立運動は健在だ」とルチェッティさんは語った。「新たな活動家が次々と立ち上がっている」

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