父 あの日、妻から知華が救急搬送を受けたという第一報を聞いた時、私たちの間で「抗議船」という言葉も一致しなかったことを覚えています。私は報道で「抗議船」「転覆」という言葉を見て、まさかそんな船に高校生を乗せることなんかないだろうと思ったので、「抗議(こうぎ)活動に使う船なのだから高校生は乗っていないだろうし、大丈夫でしょう」と返事をしたのです。そしたら妻は「だから沖縄で講義(こうぎ)を受けていたんだって」という。講義を受けて、船に乗るという意味だと思っていたんですね。お互いに言葉の認識がずれるくらい意味がわかっていなかった。辺野古の問題で陸上の座り込み活動があることは知っていましたが、まさか海上でもやっているとは知らなかった……。私たちに知識がなかったことは悔やまれます。

──一手に引き受けてくれる弁護士を探すのも大変だったのですね。

父 私は友人にたまたま弁護士がいて、最初期から相談をしていました。私たちには知識もなく、拙いながら刑事事件にしたい、学校や団体にも捜査ができないのかと聞いていたのですが、彼は弁護士として、今私たちが置かれている状況を丁寧に説明し、「刑事は海保の捜査を待つしかないんじゃないか」、そして友人として「相談は受けるから」と言ってくれました。個人事務所で時間も労力も限られ、全面的に代理人契約を引き受けられないという事情もくみ取ることができました。同時に自分たちの希望はハードルがこんなにも高いのだという現実も知ることになったのです。

母 友人、知人も含めていろいろな方から「この弁護士はどうか」という連絡をいただきお会いしました。でも、話されることは大体同じです。

父 お会いした弁護士の方からは今回のような業務上過失致死傷事件で学校関係者の刑事責任を問うのは難しいし、民事にしても「学校や協議会は民事訴訟でお金は取れるかもしれない。でも、取れるのはお金だけですよ。相手が自分たちに責任はないといった主張を聞いたりするような辛い時間が長く続くかもしれません」というお話ばかりを聞きました。

その度に「なるほど刑事事件だと学校側が捜査対象になる可能性はこんなにも低く、民事訴訟というのは長い時間をかけてもお金を払わせることしかできない上に、相手に払う力がなければ何もできないのか」と初めて知る話ばかりで、ますます辛くなりました。

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