2005年の研究に参加した米ハーバード大学医学大学院のアルベルト・アスケリオ教授は、「たばこ葉に含まれる何らかの成分に神経を保護する作用があるのではないか」と話す。

その候補には、モノアミン酸化酵素B(MAO-B)の働きを抑える成分も含まれるという。MAO-Bは脳内でドーパミンなどを分解する酵素で、その働きを抑えることで、運動機能に重要なドーパミンを脳内により多く保つことができる。

実際、MAO-Bの働きを抑える薬はパーキンソン病の治療にも使われており、運動症状をある程度改善する効果があるとされる。

ただしアスケリオは、「結局のところ、どの成分が最も重要なのかはまだわかっていない」と話す。

ニコチンに注目する研究もある。オークンによると、ニコチンは有力な候補の1つで、ドーパミンに関係する脳回路に作用し、炎症やミトコンドリア機能、ドーパミンをつくる細胞の生存に影響を与える可能性があるという。

動物を使った研究でも、ニコチンがドーパミン神経細胞の損傷を防ぐ可能性が示されている。

喫煙とパーキンソン病の関連をめぐるこれまでの研究は、「関連するメカニズムを突き止めることができれば、パーキンソン病を予防できる可能性が高いことを強く示唆している」とアスケリオは話す。

ただし、専門家がパーキンソン病の予防策として喫煙を勧めているわけではない。今後は、たばこに含まれるさまざまな成分について、神経を保護する作用があるかどうかを体系的に調べる必要があるという。

フロリダ大学のオークンも、重要なのは「人々が喫煙すべきだということではない」と強調する。

「この一見不思議な関連から、生物学的な手がかりが得られることこそ重要だ。何が保護作用をもたらしているのかを正確に突き止め、それをたばこがもたらす甚大な害から切り離すことができれば、パーキンソン病の予防や進行を遅らせるための新たな治療標的が見つかるかもしれない」
 

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