Kate Abnett
[ブリュッセル 15日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州議会は15日、輸入品価格の上昇時に炭素国境調整措置(CBAM、国境炭素税)の適用を一時停止できる「緊急ブレーキ条項」を削除する方針を支持した。加盟国側は同条項の維持を求めており、今後の制度設計を巡る交渉で対立する見通しとなった。
CBAMは1月1日に本格導入され、鉄鋼や肥料などの輸入品に対し、製造時に排出された二酸化炭素(CO2)に応じた費用負担を求める制度。欧州域内の企業が排出権購入などで負担している炭素コストとの公平性を確保し、域外製品との競争条件をそろえることを目的としている。
「深刻かつ予見不能な状況」によって対象製品の価格が上昇した場合に、一時的にCBAMの適用を免除できる緊急ブレーキ条項は昨年、欧州委員会が提案。フランスが農家のコスト負担軽減を目的に、肥料へのCBAM適用停止を求めたことなどが背景にある。ただこの措置については、低炭素投資を損ない、安価な輸入品から域内産業を保護するというCBAM本来の目的に反するとの懸念も企業側から示されている。
欧州議会はこの日、条項削除に賛成した代わりに、CBAMによる収入を活用して制度によって価格上昇の影響を受ける産業への補償に充てる案を提案した。
今後はEU加盟国と欧州議会は最終的な制度内容について協議する。新たな規則では、洗濯機や自動車部品などにも対象範囲を拡大する方向となっている。
加盟国側は一定条件下でCBAMの適用停止を可能とする仕組みの維持を要望しており、対象製品の価格が6カ月間で50%超上昇した場合などを停止発動の条件として想定している。
一方、欧州議会は、アルミニウムへの適用強化策も支持した。対象となるアルミ製品の輸入量基準を現行の50トンから5トンに引き下げ、高価格・軽量の自動車部品やドア部材、太陽光パネル向けアルミ製品なども制度の対象に含めるほか、使用済みアルミニウムスクラップもCBAMの対象に追加する。これまでスクラップは対象外だったため、欧州のアルミ業界では、域外国の供給業者がスクラップ利用を増やしてCBAMを回避し、価格競争上の優位性を得るとの懸念が出ていた。