地中海に浮かぶイタリア・サルデーニャ島に、欧州最大級のフローライト(蛍石)鉱山がある。半導体やリチウムイオン電池の製造に欠かせないこの鉱物を産するシリウス鉱山が、長い休眠を経て再稼働しようとしている。

イタリア、サルディーニャ島の地図
サルディーニャ島(イタリア)

地下調査では相当量のレアアースの埋蔵も確認され、実用化されれば欧州初の域内供給源となる可能性がある。中国や中南米、アフリカへの依存を減らしたい欧州にとって大きな一歩だ。

鉱山内では、ベテラン鉱山作業員が地元の若手作業員に採掘技術を伝えている。牧畜業を主な生業としてきたこの地域では、初年度で200人超の雇用が生まれる鉱山の再開が地元経済の転機となる。

豊かな鉱物はこの島の暮らしと切り離せない存在だ。住民たちの多くが、鉱山の閉山後も廃坑や鉱山跡で鉱物採集に情熱を注いできた。

伝統的な暮らしが息づく小さな島が、次の時代の欧州を支える資源地としてどのような道を歩むのか。その行方は、欧州のエネルギー戦略の未来を映す鏡となりそうだ。

撮影:ジャンマルク・カイミ&バレンティーナ・ピッチーニ 2013年から活動を共にするドキュメンタリー写真家デュオ。ウクライナの政治情勢、シチリア島の農業と気候変動、欧州の脱炭素社会のための鉱業開発再開など、人々と文化、政治、自然環境との変容し続ける関係性をテーマに制作活動をしている

【1038回】

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