<一時4000ドルまで下落した金価格が再び4700ドルをうかがう…世界的なインフレ懸念とドルの弱体化を背景に、投資家たちが金に殺到する理由とは>
一時、大幅に下落していた金が再び動き始めようとしている。金価格の国際指標であるロンドン現物価格は一時、1トロイオンス=5500ドルを突破したものの、その後は4000ドルまで下落。だが夏以降、4700ドルをうかがう展開となり、長期的な相場観の指標となる200日移動平均線(終値の平均を線で結んだもので、株価の方向性を示す)をめぐる攻防が続く。
金価格に連動するETF(上場投資信託)に過去最高水準のマネーが流入するなど、市場の注目度が高まっているが、その背景となっているのは、全世界レベルでのインフレ懸念とドルの弱体化である。
アメリカ政府の財政は今後、急激な悪化が予想される。もっとも、世界ワーストの日本と比べればアメリカ財政は健全そのものと言えるが、同国にはまた別の事情がある。それは米ドルが世界の基軸通貨となっており、米政府の財政状況が世界の通貨価値そのものに直結することである。
トランプ政権によるイラン攻撃の出口が見えない上に、世界的な金利上昇で利払い費が急増しており、アメリカは今後、国債増発に舵を切らざるを得ない。困ったことに民間企業の活動においても金利を押し上げる力が働いている。AI企業による莫大な資金調達である。
AI業界は過剰な競争環境にあり、世界全体で数百兆円の資金需要を発生させている。莫大な需要がマネー不足による金利上昇をもたらし、これが政府の利払い費を押し上げることで、さらに金利が上がるという悪循環となっている。
一連の流れは当分、継続する可能性が高く、金利上昇が長期化するとの予想が大半を占める。金利上昇と物価は連動しているので、結局のところ、インフレが激しくなる要因ばかりというのが今の世界経済と言ってよい。