Arasu Kannagi Basil Isla Binnie
[31日 ロイター] - 保険仲介大手のエーオン は31日、同業の米USIインシュアランス・サービシズを、米プライベートエクイティ(PE)大手KKRから約170億ドルで買収すると発表した。近年の保険業界では最大級の買収案件となる。
エーオンは120カ国以上の顧客にサービスを提供し、企業が直面する複雑化と不確実性への対応を支援している世界有数の保険仲介企業。この業界では市場シェア拡大や競争力強化を目的とした大型買収が相次ぎ、細分化された市場の中で、各社は事業規模の拡大を図るため高額な買収にも積極的になっている。
エーオンは今回の買収により、成長が続く米国の中堅企業向け保険市場での事業基盤を一段と強化。グレッグ・ケース最高経営責任者(CEO)は「USIは当社の中堅企業向け市場での存在感を大幅に高めるとともに、E&S(超過・余剰保険)分野での事業機会を拡大する」と述べた。E&S分野は米商業保険市場で最も成長が速い分野の1つとされる。
米国の中堅企業向け保険市場の規模は400億ドル超とされ、米国の商業用損害保険元受保険料の3分の1超を占める。ケース氏はアナリスト向け説明会で「中堅企業は経済の重要な原動力であり、複雑化するニーズに応える大きな機会がある」と語った。
エーオンは2024年にも約130億ドルで中堅市場向け保険ブローカーのNFPを取得しており、これに続く今回の買収は健康保険、人材、人的資本アドバイザリー事業の強化にもつながる。
USIは1994年設立の保険ブローカー・コンサルティング会社で、損害保険、従業員福利厚生、個人向けリスク管理、プログラム保険、年金関連サービスを提供する。単一拠点から事業を開始し、現在は年間売上高約30億ドルを誇る米国第10位の保険仲介企業に成長した。
保険仲介業界では近年、アーサー・J・ギャラガーによるアシュアードパートナーズの135億ドルでの買収や、ブラウン&ブラウンによるアクセッション・リスク・マネジメントの約100億ドルの買収など、大型案件が続いている。
買収手続きは第4・四半期中に完了する見通し。28年にはエーオンの調整後利益を押し上げると見込まれている。買収資金は負債で賄う予定で、同社は当面自社株買いを見送り、債務返済を優先する方針だ。
USIのマイク・シカードCEOは、買収完了後にエーオンの社長兼中堅市場部門のグローバルCEOに就任する。
KKRにとってUSI売却は、PE業界で投資先企業の売却が難航する中で大型投資回収案件を1つ実現させた形。KKRは第2・四半期に過去最大の投資回収額を記録した。
USIは、KKRとカナダの年金基金運用機関CDPQ(ケベック州貯蓄投資公庫)が17年に約43億ドルで買収し、その後KKRは持ち分が拡大して最大株主となった。
KKRの保有期間中にUSIの売上高は約3倍に成長。パイパー・サンドラーのアナリストチームは今回の売却について「戦略保有事業部門による成功事例」と評価した。同部門は外部投資家の資金ではなく、自社資金を活用して投資を行っている。
KKRによると、今回の案件は2017年の当初投資額に対し約6倍、投資期間全体の投下資本ベースで約3.4倍のリターンとなる見込み。取引により約20億ドルの調整後利益を計上する見通しだ。