FRB(米連邦準備理事会)のウォーシュ議長は8月28日、主要国の中央銀行総裁らが集まるジャクソンホール会議で基調講演を行った。個人消費と雇用情勢は共に堅調に見え、経済全体の実績は「印象的」だ──ウォーシュはそう述べつつ、データは「物価安定という点ではより懸念すべき」内容だと指摘。FRBの「現時点での優先課題は物価であるべきだ」と語った。
FRBは7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を据え置いたが、ウォーシュはインフレを抑えるために利上げの必要が生じる可能性があると述べた。ウォーシュの講演と同じ8月28日、米労働統計局は今年3月までの1年間を対象とする雇用者数の年次基準改定の推計値を発表。雇用の伸びが当初の発表より弱かったとして、雇用増加数を7万9000人下方修正した。
非農業部門の雇用者数を91万1000人下方修正すべきだと推計した昨年9月に比べれば10分の1以下にとどまる。だが、市場では20万人の上方修正が見込まれていた。
ウォーシュは5月の議長就任以来、インフレや雇用、金利について観測筋にほとんど手掛かりを与えてこなかった。この演説でも「市場参加者が次の取引のためにFRBの出方をうかがうような体制を容認すべきではない」と述べた。
一方で、「基調的なインフレ率が明確に、かつ十分な速さでわれわれの目標に向かっていると確信できなければならない。そうでない場合、われわれにはなすべき仕事がある」とも語っている。
次のページ