Christian Kraemer

[ベルリン 26日 ロイター] - ドイツのクリングバイル財務相は、イタリア金融大手ウニクレディトによるコメルツ銀行買収計画を巡り、ウニクレディトのアンドレア・オルチェル最高経営責任者(CEO)と会談する方針だ。複数の関係者がロイターに明かした。この問題でドイツ政府が同行と直接協議に乗り出す姿勢がより鮮明になった。

ドイツ政府は、金融危機時の救済措置に伴ってフランクフルトに本拠を置くコメルツ銀行株を12%強保有。これまでオルチェル氏が約2年にわたり進めてきたコメルツ銀行買収構想に反対してきた。

別の関係者の話では、オルチェル氏はドイツ財務省での会談招請を受諾した。  

クリングバイル氏は9月14日の会談を目指しており、その場でドイツ政府の立場をオルチェル氏に直接説明する方針。またコメルツ銀行がドイツ経済への資金供給やフランクフルトの金融センターとしての地位維持において重要な役割を果たしている点を強調するとみられる。

コメルツ銀行とイタリア経済省の関係者は、会談計画についてコメントを拒否した。

イタリア紙ラ・レプブリカは25日、オルチェル氏が9月にクリングバイル氏と会談する可能性があると報じていた。

ドイツ政府は以前からオルチェル氏の手法を「敵対的かつ攻撃的」と批判してきたほか、提示された買収価格が低いと主張するとともに、コメルツ銀行の本社機能をフランクフルトに維持することを求めている。

こうした立場は、欧州域内の銀行再編を後押ししてきた欧州中央銀行(ECB)と対照的。ECBは域内銀行の統合を進めることで、米国の大手金融機関に対抗できる競争力を確保したい考えだ。

ウニクレディトとコメルツ銀行の経営陣は、今年に入り複数回にわたり協議を重ねてきたが、今のところ合意には至っていない。しかしウニクレディトが7月にコメルツ銀行の保有比率を50%弱まで引き上げたことで状況は変化した。この水準であれば、取締役選任を含む株主決議に大きな影響力を行使できる。

コメルツ銀行のベッティナ・オルロップCEOは今月、ウニクレディトとの統合が双方に価値をもたらす可能性があるとの認識を示した上で「共通の着地点を見出せる」との楽観的な見方を表明し、従来に比べて柔軟な姿勢を示している。

一方、オルチェル氏はこれまで、ドイツ政府や労働組合代表との直接対話を求めてきた。

関係者の1人は、今回の財務相との会談は両行間で継続している協議を補完する性格で「今後の方向性については引き続き両行が直接協議する責任を負う」と述べた。

別の関係者は、ウニクレディトがコメルツ銀行の雇用維持に関してドイツ側を安心させることは可能との見方を示したものの、ドイツ事業の本拠地をどこに置くかについては、なお時間を要するとの認識を明らかにした。

ウニクレディトはイタリア本社を維持する方針を打ち出しており、イタリア政府もドイツへの本社移転を支持しない考え。コメルツ銀行は自らの国際ネットワークの維持と、ドイツの中堅・中小企業群である「ミッテルシュタント」向け金融サービスへの重点維持を目指している。

コメルツ銀行のイェンス・バイトマン監査役会会長は23日、ドイツ政府は当面、保有するコメルツ銀行株を維持すべきだと発言した。

ロイターが確認した内部文書によると、ECBはウニクレディトによる買収計画の承認に前向きな姿勢を示しており、承認されれば最大の規制上の障害が取り除かれる見通しだ。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。