相手に変化を求めるなら、まず不安を理解する

──深谷さんご自身のマネジメント経験の中で、「伝え方」やコミュニケーションの変化につながった印象的なエピソードがあればお聞かせください。

部下の言葉がきっかけで大きな気づきを得たことがあります。製造業の企業に勤め、省エネを推進する仕事をしていた頃の話です。最初は生産部門に対し、「この装置を止めればこれだけコスト削減ができるので、止めましょう」と、新たなアクションのメリットを伝えていたのですが、全く相手は動いてくれませんでした。

ある日、同行した部下が「何がわかれば安心できますか」と聞いてくれたんです。そうしたら相手が「これは変えたくないし、必ず確認が必要」と具体的に言ってくれた。「では、その部分は変えません。まずは狭い範囲で試して、うまくいったら広げていきましょう」。こう提案したら協力を得ることができました。

その部下から学んだのは、変化を嫌う人にそのメリットを強調しても響かないということです。おそらく生産部門の人たちは、定型業務をミスなくこなすことを求められていて、「うまくいっているものを壊したくない」という思いもあったのだと思います。何か問題が起きたらトラブルに巻き込まれるかもしれない。だからまずは相手の不安に寄り添って、小さく始めることが大事になる。その視点を学んだことで、伝え方が変わりましたね。

「過去を責めるのではなく、未来に焦点を当てる」
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