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[ロンドン/ミラノ 16日 ロイター] - イタリアの都市パドバでは1世紀以上にわたり、カフェが夕方の早い時間に屋外の席で食前酒を楽しむ客を迎えてきた。
しかし欧州が今年5回目の熱波に見舞われる中、人々はエアコンのきいた室内に閉じこもり、午後6時から7時のこうした利用はほぼ消失。多くの飲食関連企業で売上減少を招いている。
加えて、極端な猛暑は往々にして伝統的な休業補償保険の補償対象外なので、欧州中の企業が保険未カバーの損失を抱える事態となっている。
ムーディーズが公表した試算によると、欧州は昨夏、熱波による経済損失が430億ユーロ(約500億ドル)に達した一方、支払われた保険金は約5億ユーロにとどまった。
パドバでは現在、食前酒の開始時間が遅くなる傾向がある。「屋外の座席エリアやテラス、屋外スペースが利用されず空席のまま残される」と、飲食店協会APPEパドバの会長、フェデリカ・ルーニ氏は語った。
同州の約600の飲食関連企業を対象とした調査によると、80%余りが最近の熱波の期間に20%前後の売上減少を報告した。
「20%減少すれば利ざやは吹き飛ぶ」とルーニ氏は言う。
熱波による欧州経済への打撃は拡大しており、生産性の低下、個人消費の抑制、営業コストの増大につながっている。こうした損失は物理的損害ではなく間接的な営業上の支障に起因することが多いため、保険会社が補償するのは困難な場合がある。
マーシュの気候・サステナビリティ部門マネジングディレクター、スウェンヤ・サーマインスキー氏は「熱波自体は、伝統的な保険対象リスクではない」と説明。「極端な熱波は、洪水や嵐のように壊滅的な物理的損害を引き起こすことは滅多にないが、財務面・営業面で同じくらい深刻な影響をもたらすことがある」と語った。
中小企業9000社を対象に実施された2023年の調査によると、財産保険の一環として休業補償保険に加入していたのは28%で、ストライキなどの事象をカバーする非損害型休業補償保険は17%にとどまった。
猛暑による経済的コストが増大するにつれ、保険でカバーされない損失は膨らんでいる。列車の遅延、農業収穫量の減少、工場の冷却コストの上昇、猛暑による従業員の生産性低下などだ。
<複合的リスク>
猛暑は多くの場合、単一の特定可能な損害事象を引き起こすのではなく、干ばつ、山火事、水不足などが相互に影響する複合的リスクとして作用する。そのため他の自然災害よりもモデル化や保険引き受けが難しい。
ロイター・クライメート・モニターによると、11日の西欧の平均気温は、1961年から1990年の平均を摂氏約10度も上回った。
環境情報開示プラットフォームのCDPがまとめたデータによると、同機関が追跡する企業の35%が熱波をリスク要因として特定しており、その筆頭が製造業、サービス業、インフラ、食品関連分野だ。
カバー対象から外れる損失の問題に対処するため、保険会社は気温があらかじめ決めた閾値(しきい値)を超えると自動的に保険金が支払われる「パラメトリック保険」を検討している。こうした保険では長期にわたる損害額の査定プロセスが不要だ。
KBVリサーチによると、欧州におけるパラメトリック保険の市場規模は25年から32年にかけて年平均9.5%成長し、31年までに79億3000万ドルに達すると見込まれる。
マーシュのサーマインスキー氏は、それでもなお多くの企業は一義的に、冷却技術への投資、職場の再設計、サプライチェーンのストレステストなどを通じて事業を猛暑に適応させることに注力する必要があると指摘。「損害が発生してから対処するのではなく、損害を回避するために行動すべきだ」と述べた。