ネアンデルタール人の特定の遺伝子を持つ人は、持たない人に比べて筋肉量が多い――。細胞培養実験と体格調査の両方を通じ、そんな傾向を裏付ける研究が発表された。
研究チームは、ネアンデルタール人由来のある遺伝子が、成長ホルモンに対する体のより強い反応を促し、結果として筋肉量を増大させていることを突き止めた。この変異は、約4万7000年前に現生人類とネアンデルタール人が交わることで受け継がれ、今も数百万人が持ち続けている。
「全く異なる2つの証拠が同じことを物語っていた」。論文を発表したドイツ・マックスプランク進化人類学研究所のフィリップ・カニス研究員はそう解説する。「実験室で培養した細胞は、より強く反応した。100万人あまりの体格を調べたデータにも、体の同じ反応の痕跡が表れていた」
「実験室の証拠と人を調べた証拠がこれほどはっきり重なり合うことは非常に珍しい」
成長ホルモンは筋肉や骨の発達を調節することで体の成長を助ける。同ホルモンは脳の底部にある下垂体から分泌され、血流に乗って運ばれた後、細胞表面の受容体に結合してシグナルが内部へと伝達される。
スウェーデン・カロリンスカ研究所のヒューゴ・ゼーベリとカニスが率いる研究チームは、ネアンデルタール人由来のこの受容体について、一般的な現代人の受容体にはないアミノ酸の変化が2つあることを発見した。
この変化がもたらす作用を調べるために、それぞれの受容体を持つ細胞を実験室で培養し、成長ホルモンを投与した。その結果、ネアンデルタール人由来の受容体を持つ細胞は、現代人の受容体を持つ細胞よりも成長が40%大きかった。その強い反応の大部分は、ネアンデルタール人特有の2つの変異のうち1つに起因していた。