中国で昨年、遺伝子編集の臨床試験を受けた女児が死亡し、研究チームが事実を隠蔽していたことが明らかになった。科学誌サイエンスと、学術雑誌に掲載された論文の撤回を報告・分析するサイト「リトラクション・ウオッチ(撤回監視)」の共同調査によるもので、ネット上には怒りの声が広がっている。

死亡した6歳の女児メイ(仮名)には、遺伝子の異常による発達遅延が見られた。そこで両親が頼ったのが、著名な神経科学者の仇子龍(チウ・ツーロン)。彼は上海交通大学医学院付属の新華医院で、遺伝子編集の臨床試験を率いていた。

動物実験では重篤な副作用が確認されていたが、臨床試験は続行され、メイは重度の免疫反応を起こして死亡。だが研究チームは事実を隠蔽し、メイに関するデータを伏せた論文をネイチャー誌に投稿した。両親は大学と病院側が情報開示に応じないことに業を煮やし、娘の死について欧米メディアに情報提供した。

中国はバイオテクノロジーの分野で躍進が著しいが、10年前に予想されていたほど他国を圧倒しているわけではない。当時の中国は政府の助成金が潤沢で、規制も緩いと考えられていたため、欧米の企業や研究者はこぞって中国の科学者に協力を求めた。

その空気を一変させたのが、2018年に起きた賀建奎(ホー・チエンコイ)の事件だ。著名な研究者だった賀は、エイズウイルス(HIV)への耐性を持たせる目的で、ゲノム編集で遺伝子を書き換えたヒトの受精卵から双子を誕生させた。賀は倫理審査によって承認を受けたと主張したが、関係機関はいずれもこれを否定した。

賀は文書偽造などの罪に問われ、懲役3年と罰金300万元(当時のレートで約4700万円)を言い渡された。

結果を捏造することも多い
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